将棋ウォーズで初段になる方法(5)〜詰将棋の勉強法

*写真の詰将棋は五手詰ハンドブックIの176問目。お気に入りの作品です。

「終盤力を鍛えるには詰将棋」というのが王道のキャッチフレーズでした。しかし最近ではプロ棋士の中でも違うことをいう向きもでてきました。あの羽生九段も、「根性論」的なところがある、とあるインタビューで述べています。

しかし、恐らくプロが話している内容はアマにとってはあまり参考にならないでしょう。それは次元の違う話だからです。端的に言って、五手詰の詰将棋がまったく解けない状態で将棋ウォーズで初段になることは難しいと考えておいたほうがいいです。そのためにオススメなのが、「棋書」のエントリーで紹介した詰将棋の「ハンドブック」です。

ハンドブックは一手詰から七手詰までありますが、理想的にはこれらは丸暗記したいところです。詰みのパターンを脳内に叩き込むのが非常に重要だからで、それができていないと最後に簡単な読み抜けがでてしまうし、頓死もしやすくなってしまいます。

何を隠そう、私も詰将棋が大の苦手で、どちらかというと棋書で勉強したタイプなので序盤はそこそこ強くなったものの、終盤でひっくり返される将棋があまりに多いため、発奮して毎日やるようにしました。最近では毎朝の日課として解いています。強くなるには?という質問に対して、「毎日詰将棋を解くこと」と答える先生方が多いからです。

で、攻略法をいろいろ考えたのですが、いまのところ一番正しいと思う方法を紹介します。それは「暗記に徹する」方法です。これを推奨する方は将棋ブログを書いている方の中にもたくさんいらっしゃいます。将棋上達に欠かせない「脳内将棋盤」を構築する上でも非常に大事な作業だと思います。

意力流詰将棋効力法

まず今月はこれ、という本を一冊決めます。それを毎日解くようにします。休み無しです。

ハンドブックは200問あります。割ける時間によって一日何問くらい解くかを決めましょう。私の場合は20問です。初日は1〜20までを解きます。後ほどはわからない問題には折り目をつけて判別しやすくしますが、最初は全部わからないのと同じようなものなので、まずは全部通していきます。

大事なのは長時間考え過ぎないことです。1問5〜10分を目安にして、わからなかったら答えを見て、脳内で正解の道筋をイメージして覚えるようにします。そうしてどんどん進みましょう。

さて翌日ですが、21問目からやりたいところですが、ぐっと堪えて昨日やった1〜20を復習しましょう。昨日やったところなので、覚えているはずです。あまり記憶に残っていなくて、さっぱりわからない問題があったら折り目をつけはじめて構いません。そして20問目まで終われば前日と同じ要領で21問目から解いていきます。大事なのは、朝の日課が終わった後で、少しでも時間があれば解けなかった問題(折れ目がついてるやつ)を何度でも復習しておきましょう。翌日に解けるようにです。

翌日は41問目からになりますが、また1〜40を復習しましょう。折れ目がついている問題が解けたら、それは元に戻し、解けなかったら折れ目はそのままにします。

これを続けていくと10日で200問が終わります。1ヶ月は30日あるので、あとはひたすら反復しましょう。二週間くらいすると、最初の100問は何度も繰り返してスラスラできるようになっているので、101問から始めるという工夫をしてもいいですし、完全に記憶しているなら、本をひっくり返して上下逆に解くのを勧める方もいらっしゃいます。(受けを覚えるため)

だいたいの目安として三手詰のハンドブックが10分、五手詰が30分、七手詰が1時間で解けたらいいのではないかと思います。こうしてハンドブック七冊(現行のみ)をスラスラ繰り返して解けるようになったらかなり多くの詰みパターンが脳内に焼き付いているはずです。間違いなく終盤力は上がっているでしょう。本当に早いと、2〜3分で解くという方もいるようです。本を順番にやっていくと、適度に忘れた部分を補完できていいと思います。もちろん飽きたら他の詰将棋をやってもいいのですが、瞬時に判断できる「暗記」状態がいい状態だということを覚えておいてください。将棋ウォーズ初段は、七手詰ハンドブックまでで十分に達成可能だと思います。


コツは毎日やること。柔軟や筋トレのように、毎日やっていると間を空けるのが怖くなります。そうなったらしめたものだと思います。一日20問できなかったら、10問でも5問でも構いません。1ヶ月じゃなくて2ヶ月かけてやってもいいです。むしろそのほうが丸覚えできるかも。イメージは「暗算」ですね。

将棋ウォーズで初段になる方法

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。