Uber、中東の同業Careemを約3400億円で買収へ

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 Uberは米国時間3月26日、中東の競合企業Careemを31億ドル(約3400億円)で買収すると発表した。Uberにとっては過去最大規模の買収となる。2020年第1四半期に完了する見込みだが、その前に規制当局の承認が必要だ。

Careemは2012年創業で、ドバイに本社を置く。15カ国で事業を展開しており、これにはイラクやモロッコなど、Uberがまだ進出していない市場も含まれる。UberとCareemはそれぞれ独立して運営を続ける予定だ。(CNET)

同業のLyftが先日米NASDAQへの上場申請を行ったとメディアが一斉に報じたのは3月1日だった。前回Lyftが上場を発表した時は、即座に追いかけて発表をしたUberだったが、今回はまだ追随しておらず上場申請は来月にずれ込む見通しとブルームバーグなどが報じている。Lyftは今月末の上場を控えて現在ロードショーと呼ばれる投資家向けの資金調達イベントの真っ最中。ひょっとしたらそれに当てて今週にでも申請するかと思ったのだが、Lyftに比べて事業規模が遥かに大きいUberは上場に先駆けて世界戦略の対応をしているらしい。このところ矢継ぎ早に世界市場でのニュースが報じられている。

今回は中東での事業活動となる。31億ドルというのはなかなかの金額だが、これも上場後の時価総額アップを目指してのことであろう。また、LyftとUberともに筆頭株主に日系企業が名を連ねていることは大変興味深い。国内でも、相乗りタクシーや乗車前の見積確定など、矢継ぎ早に規制緩和が進んでいる。背後には楽天とソフトバンクという国内でも大きな力をもつ二大企業とそれより有名な創業者二名の力が各方面で働いているであろうことは容易に推察できる。

Uberは国内では大阪、名古屋、広島、青森に続いて京都のMKタクシーとも提携すると発表した様子。ウーバーイーツに負けずと知名度が向上しているような気がする。上場申請は早ければ来週にでも行われるのだろうか、アリババに次いで全米史上二番目の大型IPOと目されるだけに非常に楽しみである。画像共有のピンタレストやオンライン会議システムのズームも上場申請をするなど、久しぶりにシリコンバレー界隈が賑やかになっている。きっとVCや機関投資家は大忙しだろう。


立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。