日本のゲーミフィケーション技術が世界を変える?(1)

オンサイトのプロジェクトが終わったので、6月中旬からようやく日本にまた出張できるようになった。早速7月に3週間、9月末から2週間と二度日本に出張してきた。ビジネスローカライゼーションのコンサルティング会社を立ち上げ、IT周辺の北米市場に関するマーケティング・リサーチなどをいくつか受注した。

また、いずれ詳しくまとめたいと思っているが、男鹿半島から能登半島までの日本海側(東北・北陸)四県をつなぐ「西海岸プロジェクト」に携わることになり、出張の度に酒田・長岡・氷見などの地方都市を訪問しており、かなり新鮮な刺激を受けている。1兆円にも上る「地方創生」予算が発表になったそうだが、筆者も東京一極集中は日本の将来にとって良くないと考える一人である。

久しぶりに日本を訪れて思ったのは、2020年に東京五輪が開催されるとあって、英語圏向けのマーケティングに関する需要が高まっていること。(主にインバウンド)JRのジャパンレールパスという便利な新幹線(とローカル線)乗り放題パスに加えてWiFiルーターのレンタルが充実してきており、iPadやスマホを地元と同じ感覚で利用できることが旅先でいろんな問題を解決してくれるのは、海外永住者の著者も同じように体験できる。
ただ外国人訪問客が増えるのも大いに結構だが、日本のビジネスもまた海外で活気を取り戻して欲しい。正直LINEばかりが元気で、他はあまり目につかない。(破格の上場となったリクルートもなんか海外でやってほしい)

しかしIT業界の未来を考える上で、日本がまた主役の座を取り戻すことができるかも知れない。そう最近のリサーチ活動を通じて思うようになった。キーワードはゲーミフィケーションとウェアラブル(AR、端末連携を含む)である。日本の成熟した市場で培われたモノづくりとゲーミフィケーションのノウハウ、そしてホスピタリティの精神はきっとまた日本経済に活力を与えてくれるように感じる。

ここではその二つの内、ゲーミフィケーションについて少し語ってみたい。最適な例が、私が昨年からハマっている「将棋ウォーズ」である。このブログでも何度か取り上げたが、このアプリは教育の観点からも多くの貴重なレッスンを与えてくれる秀逸なゲームである。大好きな祖父に将棋を教えてもらったのが8歳の頃。しかし、戦法を教わったり、将棋会館に通ったりしたわけではないので、いわゆる下手の横好き状態が実に30年続いていた。
そんな私の将棋ライフを一変させたのがこの将棋ウォーズである。制作会社はHEROZと書いてヒーローズと読む。
この将棋ウォーズは日本将棋連盟の公認ソフトとなっており、連盟公認の免状・認定状がもらえる。(日本将棋連盟というのはWikipediaによると1927年の東京将棋連盟の発足に端を発する由緒正しい団体で、いわゆるプロ棋士は皆さんこちらに所属している。2011年には公益社団法人になった)

では将棋をこよなく愛する(が弱い)筆者の将棋ライフをこのゲームがどう変えてくれたのか。それは「棋力の劇的な上昇」と「モチベーションの維持」の二点に尽きる。そして、これは教育業界で話題になっているeラーニングやMOOCSで最重要課題となっていることである。「継続は力なり」という言葉あるように、とにかく継続しないと実力は伸びない。しかし継続するには根気が必要で、それ自体が才能だといっても過言ではない。「楽しく学んで実力がどんどんアップする」そんな謳い文句の教材を見たことはたくさんあるが、著者が人生で最大の効果を感じているこのゲームを深く分析すると、教育とゲーム業界の未来が見えてくるような気がする。そして、ここに最近すっかりグローバル舞台で影の薄くなった日本企業の活路が見出されるような気がするのだ。次回以降、具体的にいくつかの大事な要素を説明しながら、いかにこのゲームが将棋ファンに愛され、裾野を増やし、そして各人の棋力向上に役だっているのか、そしてHEROZの業績についても触れていきたい。

HEROZ林社長と前回の出張で訪問したHEROZ社での林社長との記念撮影。同じ団塊ジュニア世代として今もっとも応援したい日本人起業家の一人だ。

に続く)

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。

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