一流の「英語使い」に聞く 英語マスターのコツ 吉田宣也氏~ ZEN ENGLISH

メンタルを変えることであなたの英語力を飛躍的に向上させるZEN ENGLISHの一環として、これからしばらく筆者が今まで会った中でもトップクラスの英語使いの皆さんとの交換書簡という形でのブログ対談を連載していきます。記念すべき最初の対談はウイルス・バスターでお馴染みのトレンドマイクロ社の日本での創業者である吉田宣也さんです。

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ルース駐日大使とSBI北尾氏との3ショット(一番奥が吉田氏)
ルース駐日大使とSBI北尾氏との3ショット(一番奥が吉田氏)

吉田さんは日本でも数少ないメンターあるいはエンジェル投資家として、ビジネスにおける後輩の育成を世界規模で展開されているという今の日本にとっては非常に貴重な存在です。その活動を支えているのは彼の長年のビジネスの経験やスキルは当然のこと、その卓越した英語力にあると思います。

Q1 まずは英語を学び始めた時期ときっかけをお聞かせください。
吉田: はい、若い時期からその重要性を認識して研鑽を重ねてきました、などと答えられたらいいんですけど、まったくそんなことはなかったです(笑)。 高校まで日本で過ごして、突然、単なる冒険心から海外に飛び出したくなった、そこで、日本語って日本でしか通じない!という現実に直面(笑)、とりあえずかじった外国語としては英語しか思いつかなかったので、それが使われている国として米英などを検討、気候も考慮して(笑)カリフォルニアの大学を選んだ、そんな感じです。で、行ってみたら日本の学校でいちおう優秀だった英語力では全く歯が立たないことを思い知らされ、その敗北感、挫折感が英語を磨くエネルギーに変わった、というところです。答えになってますかね?(笑)

立入:もちろん十分参考になります。(笑)

吉田:きっかけとしてはそんなものなのですが、普通の日本人留学生(当時は少なかったです)と差がついてきたのは3年目くらいからだったかも知れません。というのは、一般に日本からの留学って、半年から2年程度の期間、ということが多いじゃないですか。それって、もったいないぐらい中途半端な期間だと感じます。到達したい語学力のレベルが、日常会話程度で良いならそれで構いませんが、語学をやる、というより、言語をマスターする醍醐味が感じられ始めるのって、そこから先でどんどん出てくると思うんです。

立入:筆者自身も10歳の頃から英語を学習し始めて、大学で留学を経験し、長いこと英語を勉強してきた立場なのですが、その過程で英語の壁にぶつかっている人というのを多く目にしてきました。筆者自身も経験していることですが、英語は日本語とかなり異なる言語なので、初級・中級・上級それぞれのレベルで何段階かの壁があるように思えます。

Q2 英語のラーニングカーブででてくる「成長の壁」をうまく乗り越える方法について、英語学習者に何かアドバイス頂けませんか?

吉田:あー、そういう「成長の壁」に関して一般的な認識があるんですねー。 私は知らないかも知れないので、自分の体験や手法をお話する前に、その一般論って教えてもらってもいいですか?

立入:一般的には英語力の成長カーブはなだらかなカーブを描いて上昇するというよりは、階段のようだと言われます。つまりある一定の期間同じレベルが続いて、どこかでブレイクスルーがあって、急にパッと上の段階に行ける、みたいな。僕も経験上正しいように思えますね。急にネイティブの英語が聞き取れるようになった瞬間とか、自分の発音が通じるようになった瞬間とか。

吉田: なるほどですね。私の持論として、外国語の「読む、聞く、話す、書く」の4つの行動に分かれるのですが、その4つはこのような4つの象限に並ぶと思うんです。

外国語上達の四象限
外国語上達の四象限

つまり、言葉は、話し言葉と書き言葉、に大きく二分され、発信と受信に二分されるということです。 このとき、話し言葉系の2つのアクティビティは、ほとんど二人三脚で上達する。書き言葉系も同様、そして、発信系の2つも、受信系の二つも、やはり二人三脚の関係なんです。

それがどういう意味をもつかというと、たとえば自分でLとRの発音が正しくできるようになると、とたんに耳がLとRの聞き分けられるようになる。とか、映画などで素敵なセリフを聞いたら、使ってみて自分のものにする、とか、メールで説得力のある表現を見かけたら、見習わせてもらって、別の機会に自分が応用して使えるようになったり、とか。これらが図でいう縦軸方向の相関関係になるわけですが、一方で、横軸方向のシナジーもあるんです。ある主張をするときに、その主旨や結論と、それを裏付ける根拠とか理由とか背景とかを効果的な順序に構成して述べるというのは、話すときでも書くときでも同じように大切ですよね。

ここまで議論してくると気づかされるのが、「英語力」を議論するときに要求される力の一部は、英語の能力ではなく、概念や論理を扱う力であるということです。その証拠に、あの人は英語を使いこなしている、という日本人がいたとしたら、ほとんどの場合その人は日本語においても能力が高いはずだと思います。立入さんも海外にいて、そう感じることが多いのではないですか? たちが悪いのは、日本語も英語もよく話すけど、よくよく聞いてみると内容がない人っていますよね。そういう人って、本当に言葉をあやつる力があるかと言うと、違うんじゃないかな、って。 

立入:なるほど~。さすがによく分析されていますね、マーケティングや投資分析の専門だったりされるのがよく伺えます!
(続く)

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。

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  1. 一流の「英語使い」に聞く 英語マスターのコツ 吉田宣也氏~ ZEN ENGLISH

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