Kさんに伝えるチャリティ2.0 ~ソーシャルメディア革命~ その2

からの続き)
論点2 アメリカはやることやってる

私は九州に住んでいて直接の被災者ではありませんが、アメリカ軍の素早い支援には大変感謝しています。
空母まで派遣してくれましたw物資、ヘリ、人、アメリカ納税者の税金を大量に使っています。本当にこれ以上アメリカからのお金の支援が必要なんですか?

地震後の通貨の動きを知っていますか?円高です。未曾有の大災害が起こり原発事故も起こっているのにその国の通貨が上がるっておかしいと思いませんか?
理由まで書くと長くなるので省略させてください^^;(数ヶ月後には円安になると思いますが・・・)

感謝は私もしています。特にアメリカに住んでいるのですから。自衛隊ができないことを被曝してまで、手がけたという話もきいています。まさに「戦争」を日常体験している国だからできることがあります。対中国で苦労しているアメリカは日本に沈んでもらったら色んな意味で困るのです。しかし、これらは「国」がやっていることであり、いちいち国民の承諾を得ているわけではありません。アメリカはしょっちゅう世界の支援をしているわけですから、その骨組みを賞賛すべきです。(だからJohnは個別の事象じゃなくチャリティというCauseそのものを支援しろ、といっているわけです) しかし、個人ができることだってあるんです。それを決めるのは本人の意志であり、誰にもそれを奪う権利はありません。外国人にとって、お金を出す以外の支援が、具体的にどれだけできるのでしょうか。もちろん方法はありますが、それは恐らく緊急災害援助には向かないし、何より、日本からもっと声があがらないと、世界が何をすべきかが伝わりません。

納税者の税金を使っているのはその通り、通貨の動きを知っていますか?というのは愚問です。(私はもともとバイヤーだったので、貿易が専門でした)
通貨が上がり、株価が下がる、これはむしろ私のような「経済の門外漢」にとってはシンプルに見えます。誰だって、カジノが火事になってたら持ってるチップをできるだけいいレートでキャッシュアウトしたいでしょう?数ヶ月後に円安になる、根拠を明確にお持ちで、いつにいくらになるのか知ってたら教えてください。私の知り合いのデイ・トレーダーが全額投入してレバレッジ1000倍くらいかけるでしょう。アトヅケの学問やってる人は、予測が失敗しても何ら恥じることがないのが問題だと思ってます。一方経営者は損失を補わなければなりません、だから首吊るのです。サブプライムを生み出したActualliesの何人が自殺したんでしょうか?彼らは人を殺すことはあっても、自殺なんかしないですよ。世銀やIMFも同じこと。

論点3 日本はその気になればお金をつくれる
論点4 アメリカは自国の状態に注力すべき

>彼らにとってお金はボトルネックには成り得ない。お金が必要なら、日本はいつでもそれを得ることができるのだから。

日銀がお札を発行できるという意味ですね。しかも円高なので余裕で発行できます。
日銀は地震後に金融緩和策を次々と行っていますがそのお金は復興資金として健全に消費されていくでしょう。
ところがアメリカがこれまで行なってきた金融緩和策は金融市場の投機資金を膨大な量にしてしまい原油などの価格を釣り上げてしまいました。いま円高なのも投機資金の流入でしょう、もうこれ以上アメリカはドルを発行できません。今でさえ資金が溢れて物価が高まり世界が混乱してきています。今、アメリカで大規模な災害が起こったらどうするんでしょうか・・・

アメリカで大規模な災害が起こったらどうするんでしょうか?
というのは非常に興味深い話です。そう、その通りです。

今回彼は「DON’T DONATE MONEY TO JAPAN」という挑発的な見出しで、コラムを書きました。これは裏を返すと「アメリカがそのお金を必要としている」ということです。だから、彼は「金に糸目をつけるな」といっているわけです。例えば、放射能が太平洋を越えて西海岸に到着した場合のことを想定してください。あるいは、為替が円高に触れることを見越していたとしたら、それだけでロスがでてしまいます。
アメリカは寄付者の立場から、急に被害者の一部になります。為替で寄付が目減りしたら寄付者はがっかりします。
例えば、私がアメリカを愛するジャーナリストで、権威のある地位にいれば、何としてでも国民の目を私のほうに向けたいと思うでしょう。しかし、ダイレクトに言うと問題になります。だから、言葉を選びつつ、多くの人間の感情を害しないようにするでしょう。メディアも競争原理で成り立っています。
だから、日本人がこのコメントを看過したら、彼の意見が正論としてアメリカに蔓延します。これは人の良心を否定する行為です。すでに寄付した多数の人間はどう思うでしょうか?自分がやったことが間違いだと思わされたら。。。世界一位の経済大国であるアメリカですら、お金を贈らないでいい、といえば、発展途上国の人はどうしたらいいんですか?考えたことありますか?NY タイムズが世界でどれだけ知られているメディアかは説明する余地もありません。ASAHIやYOMIURIを誰も知らなかったとしても、アメリカの大学生は皆NYTを知っています。私の大学の経済地理学の教授は、LAにいるにも関わらずNYTの購読を生徒に推奨するのです。(もちろん政治的な視点もあります)

>これは単にアメリカが不況だから、外貨が外に逃げ出すのを嫌がっているだけ、というのが本音だと思います。

本当にそのとおりです、なにせアメリカは貧乏ですから。
そして、アメリカの景気が良くなることが間接的に日本への支援につながるということが大いにあると思います。
アメリカの景気がよくなって商品先物市場が健全な値動きをすることは非常に重要です。アメリカからの募金がかなりの額になったとしても投機資金によって先物市場の値上がりがどんどん進んでいけば、せっかくの募金の効果も薄くなってしまいます。復興に使う燃料代や材料代ですぐになくなってしまうでしょうね。

これらの理由から私もアメリカ人は日本に募金をすべきでないと思います。

「ODA」と「寄付」が同じでないように、私はこのKさんの意見を真っ向から否定したいと思います。何故なら、国が貧乏であることと自分が貧乏であることは必ずしも関係ないし、自分が貧乏であっても、寄付をすることは間違ったことではないからです。つまり、「募金するな」なんて、誰にも言えないのです。特にアメリカ人じゃなく、被災者でもないKさんが言うことではありません。
先に述べたバスの事故で、JohnさんがJPNというバス会社が豊かであることを何とか証明しようとして、周りにいた見物人に裏をとりはじめました。みんな黙って俯いているのですが、普段からUSAが「実は貧しいみたいだ」という噂をきいていたKさんはJPNという会社が実はいかに儲かっている会社かという説明をしました。これにより、結果的にバスの中の1人は直接被害に遭いました。救援が間に合わずに死んでしまったのです。もう1人餓死しました。実はJohnさんはポケットの中にチョコをもっていたのですが、それを渡すだけでこの人は生きたかも知れないのです。

まとめ、だそうです。

私はアメリカ人、アメリカ政府に日本のために次のようにして欲しいと思っています。

直接募金するより自国に目を向けて雇用などを増やし景気を良くすること、税金をたくさん払うこと。(とくにお金持ちのアメリカ人・・・)
商品市場の高騰を防ぐような政策を行うこと。
募金をするにしても急いでしなくても良い、円安になってからで良いこと。
ハイチも忘れないで。

個人は景気を良くするのに貢献なんてできません。寄付には税金控除があります。お金持ちはすでにたくさん税金払ってて、基金までつくって、さらに全財産の半分を寄付する活動をしたりしてます。高騰を防ぐような政策できる個人って誰ですか?
募金を急いでするかどうかに円高は関係ありません。日本に送る時に団体がタイミングを見るか、レートを銀行と交渉すればいいだけです。American Red Crossが30億調達して、10億をまず送った、というのもその理由でしょう。
ハイチのこともリビアのことも、みんな忘れてません。アメリカでは慈善は文化の一つです。その文化の一端として、この凄惨な状況に苦しむ日本の「友達」を助けようとしているだけです。しかも、何も全財産寄付するわけじゃないんです、みんなできるだけのことしてるだけです。したいんです、例えばそれは「自己満足」を得たいのかも知れません、でもそれを誰が非難できるでしょうか。それは「売名行為」なのかも知れません、でもそれを被災者が恨めしく思うでしょうか。
ソーシャル献金、が、このタイトルのチャリティ2.0だと考えています。それは、つまり「考えよう」ということです。2.0にはそういう意味しかありません。

うぃるさんはアメリカに住んでおられるんですよね?ぜひアメリカの友人に自国の景気がよくなるように頑張ってくれと、それが日本への最大の支援につながると言うことをできるだけ多くの人に伝えてください。おねがいします。

申し訳ないですが、お断りします。私は私なりに、アメリカの人たちから「頑張れニッポン!」のメッセージビデオをもらうことに専念します。そして、寄付をしたいという方には、できるだけ直接そのお金が「効率よく」届くようにアイデアをしますし、日本側の受け皿を探すべく奔走します。

日本中に、残念ながらKさんのような方はたくさんいらっしゃるのでしょう。「経済学」をたてに、このような理屈を振りかざされるのは本当に不本意です。
また、このアメリカのメディアに対して、黙っているのも本当に日本人らしい態度です。私は、憤慨していますので、それを声に出しました。その結果、彼は何とタイトルラインを変えてきました。これは一人の行動によってできることなのです。この「杭」を日本は叩きます。

今回の地震では「天罰」というのは間違いなく言い過ぎだし、不適当ですが、日本人は学ぶことが多いと思います。この悲惨な状態を何とかポジティブにもっていくために、「七転び八起き」の精神で、また日本が復興していく必要があると思います。そのためには「口に苦い良薬」をたくさん飲むことです。戦時中は「欲しがりません、勝つまでは」というスローガンがありましたね。この良薬は、Kさんがもつ自身の「正論」に対する視座を改めることかも知れませんし、「経済学」に対する神話を放棄することかも知れません。

被災地では救援物資が届かず餓死している人がでていると聞きました。もしかしたら、それも「信じるな」という声があるかも知れません。しかし、そう言う人たちは、餓死した人たちに対して絶対に責任をもたないでしょう。そんな人の言う事に耳を傾けるのは斯様な非常時において重要なことではありません。
「今そこにある危機」を目前にして、John Carneyが取った態度は、極めて自己中心的なものであり、扇動的なものです。しかし、今回分かったようにメディアに対しては反論が許されるわけです。相手に「表現の自由」があるならば、こちらにも同じものがあります。私は被害者の方々の感情を思う時に、今このようなタイミングで、彼が「DON’T DONATE MONEY TO JAPAN」という挑戦的な見出しで記事を書き(NYタイムズも同罪)、経済効果を生もうとしたことに対して日本人の見地から反論しています。アメリカ人ならばアメリカ人の見地があるでしょう。しかし、Kさんのような被災地にいるわけでもない人物がJohnの論説を「一理ある」というだけでサポートして、かつ「経済学を学べ」みたいな極めて傲慢な態度で接したことに対しては、看過できません。何なら、電話で徹底的に話してもいいですよ、Kさん。お願いですから、考え方を変えてください。自分がとんでもない被害にあって、五体満足じゃなくて瀕死の状態なのにそれを言えれば美談です。
(一部約束により削除)

だからKさん、「メディア」のことを「政治」のことを勉強してください。そして、「経済学」を学ぶのではなく「ビジネス」を、「正論」を学ぶのではなく「現実」を肌で感じてください。
一理あるから支持する、そんなの子供のすることです。ジャーナリストが発言する際に、一理もないこといってたら、それこそその人はプロ失格でしょう。私は「一理」あるかないかを話しているのではなく、ソーシャルメディアに携わる人間として、日本の被害を心から憂い悲しむ者の視座から、今回の一連の投稿をし、直接John Carneyとやり取りをしています。もちろん、全部実名です。アメリカでは私は外国人です。それでも、言わなきゃいけないときは言わなきゃいけない。特に、他に誰もそんなこと言う人がいなければ。

私はずっと日本でも中東で起きたように、ソーシャルメディア革命が起こればいいと考えていました。過去にツイートしたように、それは違う形であるべきだと考えていました。何故なら日本は「平和」だからです。しかし、平和で豊かな国には、それなりの革命が起こるべきなのです。革命の全てが反体制というわけではありません。日本人が矛先を向けるべきは、己自身の「視座」です。それも中途半端で世界水準から大きく外れた「視座」についてです。残念ながら、Kさんの今回のコメントは、私に取っては看過できないコメントです。
日本がやるべきこと、私がやるべきこと、そしてあなたがやるべきことはきっとあるはずです。ですので、もしこれがあなたにとって「やるべきこと」だとしたら、
反論はいくらでも受けます。ただ、我々が論争している際にも、被害は拡大しますので、その「経済効果」だけは忘れないでくださいね。電話ででもいいですが、その場合はきっちり身元を明かしてくださいね。「荒らしのつもりじゃない」のは問題ではなく、相手の論旨を理解しようともせずに一言だけ訳知り顔に、しかも相手の感情(私だけじゃないが)を極めて害するように、匿名で書いていくことを「荒らし」と私は呼びます。まだ意図がよく分からないので、宮崎のことも言及させて頂きましたが、まともな反論頂けるか身元を明かしてもらえるほど、ご自身の論説を責任もって貫かれるなら、それも消します。

立入 勝義 拝
ブログ作家

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。

3件のコメント

  1. K
    2011 年 3 月 19 日

    申し訳ありませんでした。

    そして謝罪が遅れたことを重ねてお詫びします。

    うぃるさんの欠点は感情的になりすぎるところですが、逆にそれは長所でもあり熱い人間であり中途半端が大嫌いであることが伝わってきました。
    そして私のために記事を書いてくれたこと、ありがたいと思っています。
    ありがとうございました。

  2. will
    2011 年 3 月 19 日

    Kさん
    コメントありがとうございます。
    感情的になっているのは、私も認めます。そして、そうなると文章が長くなるのも認めます。
    読んで頂けただけでも、有り難いんですが。反論がホントになかったのかどうかは気になりますね。
    Kさんの専門らしい経済学の話についてもお伺いしたかったです。視点はいろいろあると思うので。
    でも、これに懲りずに今後とも意力ブログをどうぞよろしくお願いいたします。

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