大人気韓国ドラマ「ペントハウス」の感想・ツッコミ

普段あんまり韓国ドラマは見ないのだが、盆で帰省中に母親が熱心に見ているのにつられてNetflixで見始めたら止まらずついつい珍しく最後まで見てしまった。(ハマると最後まで見てしまうからできるだけ、Netflix見ないようにしてるんだけど)とにかく嫉妬と愛憎劇、そして強欲うずまくものすごいストーリーである。

このペントハウスは韓国でたくさん賞を獲った作品で予算も高額だったらしい。舞台となる100階建てのタワマンの内装がほんとに素晴らしくついつい見入ってしまう。間違いなくこれまで観た韓国ドラマの中では一番面白かった(イカゲームより少しは見やすい。家族愛のテーマも明確)徹底的に描かれる悪人の姿と親子(特に娘と両親)の愛の姿、そしてその愛する子供まで利用してしまう業の深さ。

ストーリーはあちこちでネタバレ含めたくさん書かれていると思うので、備忘歴的に感想と「そんなことあるの!?」てツッコミを鑑賞の余韻と共にいくつか残しておこうと思う。(*ネタバレ注意)

感想としてはとにかく圧巻なのはメインキャストの二人(ダンテとスジン)である。顔芸含めとんでもない演技で悪役を徹底的に演じているのはすごすぎる。

豪華すぎるヘラパレスの内装 ー これがこのドラマの見どころなのだがとにかく部屋が豪華すぎてすごい。そんなのあるの!?て思ってしまうが、もしかしたら意外に普通にあるものなのか。最上階のペントハウスは特にすごく隠し部屋やら隠し階層、玄関直通のエレベーターなどもありすごすぎる。

書類入れが毎回高級品 ー 資料やら証拠で紙や写真を渡すシーンが多発するけど毎回おしゃれなレザースリーブみたいなのに入っている。贅沢すぎるだろ!

賄賂天国 ー 最初から最後まで賄賂だらけのドラマなんだけど、韓国てこんなに簡単に買収できるのかというイメージがついてしまいそう。そんなに簡単にお金で悪いことするのか、て感じ。現金バンバン出てくるのがまるでヤクザ映画。

人間関係複雑すぎ ー 限られた登場人物で進む劇なのでわかりやすくていいのだが、それをシーズン3まで引っ張ったのでそれぞれの夫婦の人間関係がややこしすぎる。元のカップル、連れ子、影武者、すり替え、双子。こんなの一回じゃ全部わからないんじゃないのか。(実際母もやや混乱気味だ)鑑賞しながらネタバレ読んでいくくらいでちょうどいい。

日本に関する設定がめちゃ雑 ー 日本人はみんな突っ込んだであろう。特に病室での描写が酷い。ひらがなの看板とかサインが間違いだらけだし不適切すぎるし、施設の人もまともな日本語を話さない。(まぁ日本人以外にはわからないんだろうけど)あとダンテとジュンギが住んでた日本の家も、いくら在日韓国人の人が住んでるとはいえ、めちゃくちゃ過ぎる。(もっと普通に住んでるわい!)畳の上に靴で上がらないし、畳の上にあんな風に机置かないだろ、家具とか照明とか怪しすぎる(笑)

盗聴アプリ ー そんな簡単にインストールできちゃう?? 怖いわ

ヘラパレス内を縦横無尽 ー 別荘も含めてだけどみんな簡単にあちこちの部屋やら家やらに入れてしまう。セキュリティはどうなってるんだ!? しかもなぜかみんな自分の家にはセキュリティカメラを入れていない謎。

アレックスー ローガンと双子の兄アレックスを一人二役(厳密には三役)してるんだけどキャラがぶっ飛んでて面白い。この俳優さんはアメリカ育ちらしいので英語もっとできたんだろうけど、敢えてわかりやすく話してるんだろう英語の調整具合(話し方、スラングなど)が絶妙で面白い。

ジェームズ ー アメリカの大富豪ローガンのお父さんなんだけど、あのアメリカの家族3人の演技がいま一つ(変な英語も含め)で特にめちゃくちゃ怖いはずのジェームズの存在感薄すぎる。「ジェームズを怒らせたら…」みたいなシーンがあるが、全然アレックスの方が怒らせたら怖そうである。

ウンビョルの記憶 ー 飛んだり戻ったり忙しすぎる。この演技大変だったに違いない。そしてとんでもない母親(と父親)のせいで徹底的に運命に翻弄される。個人的にはシリーズ中に背がずいぶん伸びたんじゃないかと思ったんだが、ウンビョルとソッキョンもともと170cmもあるのか。キャストみんな長身なのが韓国ドラマらしい。ローガン小さく見えるんだけど180cmでダンテやユンチュルと変わらないとかマジか。

死んだはずの人がガンガン生き返る ー 韓国ドラマのお約束なのか。進んでくるともう死体が出るまで信じられなくなる。

恐喝する金額が異常 ー いくらなんでも大きくすぎるだろう(笑)現実的じゃなさすぎてびっくり。しかもだいたい動画ファイルをもらっておいて、「コピーはないだろうな?」てそんなのあるに決まってるじゃん!!

最凶サイコパス チョン・ソジン ー それはもうものすごい演技力で称賛にしか値しないんだが、あまりにもサイコパス過ぎてドン引きしてしまう。あんなに簡単に精神錯乱のフリてできるもんなのか、というのもそうだがそれが理由で拘置所から出てるのにすぐにビジネスに戻ってるあたりがツッコミどころ満載。彼女はダンテと並んで超オシャレで見どころとしても抜群。(歌の部分はさすがに口パクみたいだが)

殺しても死なないチョ・ダンテー ここも演技力を褒めるところで、ものすごい演技なのだが。あまりにもしぶとい生命力。途中でプリズン・ブレイクみたいになったかと思ったらあっさり出てしまう。絶体絶命の危機を幾度も乗り越えるのはもはや天晴。(一部ネットでは某国の総理大臣に似てると話題だが、筆者も実はそう感じていた)そしてこの人めちゃオシャレ。いつもスーツにネクタイでバッチリ決めてて、最期もどこで着替えたのかわざわざオシャレに決めて亡くなる。しかしこの人簡単に人を殺しすぎ。

ペ・ロナが悲惨すぎ ー こんなにいい子なのにひたすら運命に翻弄され大事なものをどんどん失いながらも強く生きていく彼女はすごい。しかしよくもまぁここまで彼女にばっかり悲劇を振りまいたもんだと感心するレベル。

大金の行方 ー 小切手になった大金をスリョンが受け取るシーンがなかったような。匂わせただけに思えたんだがなにせ巨額なのでその辺はっきりしてほしかった。あの金の延べ棒はいま一本いくらくらいなんだろう、ゴクリ。

パレスの最後 ー あんな風になるか?? ていうのもあるけど、なんでダンテのチョ秘書はこんなにたくさんの爆弾準備できるんだ?ちょっと911陰謀論風に見えたが、考古学者が自分で古代の遺品を埋めて発掘してた「ゴッド・ハンド」事件と合わせてオマージュなのかも知れない。

ローガンの火傷 ー いやそんな簡単に回復するか?ていうくらいものすごい火傷なんだけどしばらくしたらどんどん回復してて跡もほとんど残っていない。やはりイケメンは顔を見せてなんぼか。ちなみに最初の役であるコ・ホドンを演じている時はわざわざ慶尚道の訛で話していてローガンの時とだいぶ違う。芸が細かい。

ヘインの存在感が薄い ー 死んだふり作戦のあと病気から快復して帰国してくるはずが最後尻切れトンボになってましたね。相続のところに使いたかっただけなのか。中途半端な感じがした。

登場人物が韓国語と英語で会話をする場面がたくさんあって、ある意味新鮮だった。しかしこれは英語の得意でない俳優さんに無理やり英語を話させるより断然いいと思った。日本もこのスタイルでいいんじゃないか。ローガン・リーの俳優(パク・ウンスク)の英語力に助けられたところが大きいんじゃないか。(ちなみに昔のNHK体操のお兄さんに見えたのは筆者だけ?)

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。