映画 「The Social Network」 (ソーシャル・ネットワーク) レビュー ~フェイスブック誕生の物語~

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現在北米ソーシャルメディア最新事情を伝える本を執筆している途中で、どうしても見ておきたくなった 「The Social Network」(邦題:ソーシャル・ネットワーク 配給:ソニー・ピクチャーズ。

近くのAMCシアターの深夜上映に行ったら、何とこの映画を観ている人が他にだれもおらず、人生初の「映画館貸切状態」だった。
多分、後にも先にもこんなことないと思うので、そういう意味でも、鑑賞前から私の心に残る映画となってしまった(笑)

今や5億人という途方もないアクティヴユーザーを抱える、まごうことなき世界一のSNSを立ち上げた創設者というのは、一体どういう人物なのだろうか。そして彼がそれを立ち上げるきっかけになった理由とは?

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ご存知の通り、これはフェイスブックの若き創業者である、マーク・ザッカーバーグとフェイスブックの創業の物語をテーマにした映画である。全米で封切になるやいなや、全米での初動売上は2300万ドルとも2500万ドルとも言われ、オンラインのレビューサイト(MetacriticやRotten Tomatoesなど)では現時点でもかなりの高評価を得ている。日本では来年の1月15日から公開が始まる。配給元は最近何かと縁のあるソニー傘下のソニー・ピクチャーズ。

全米屈指の名門大学ハーバード在学時にわずか19歳にして、フェイスブックを立ち上げるにいたったこの素晴らしい起業家は西の名門スタンフォード大学で講演した際に、この映画についてコメントを求められて、脚色が多く立ち上げの動機などが異なるという話をしたそうだが、衣装などはそのまんまだという。そんなことを聞いていたので、衣装ばかり気になったのだが、つまり普通のカジュアルな学生スタイルということだ。(ちょっとダサイ感じはするが、服装に普段無頓着な私が言える義理ではない) 東に比べるとカジュアルな西海岸の学生はああいう感じが一般的な気もする。パーティなどでもそうかどうかは別として。

で、肝心の映画の内容はといえば、主人公のマークなど実在の人物が大学在学中にどういう経緯でフェイスブックを立ち上げるにいたったか、ということについて、ほとんどの人が知らないであろう裏話をたくさん盛りこんで華やかなものにしている。特に異色のキャストとして、音楽共有サービスのナップスター (Napster) を立ち上げたショーン・パーカー (Sean Parker) の役をハリウッド音楽界でもとびきりの人気者であるジャスティン・ティンバーレイクが演じて、かなりいい味を出しているのも見所だ。

本邦未公開ということもあり、あまり多くを話したくないが、地味で早口で人付き合いのあまり上手でない(要は典型的なオタクということだ 笑)、しかしとんでもない天才が必死の努力を続けて、斬新なアイデアを少しずつ現実の形にしていくというあたりは非常に現実的な話だ。特に、フェイスブック(同窓会名簿の意)がハーバードのキャンパスで立ち上がり、周囲の大学に勢力を伸ばしていったというあたりは、日本でも慶応大学などで立ち上がり、盛り上がっていったミクシィやグリーの軌跡と似通った部分がある。IT関連の起業家には特に観ることをお勧めしたい。アメリカンドリームを実現させるアメリカのハリウッドらしい、映画だと思った。

ただ、主人公の話し方のみならず、ストーリーの展開が(過去と現在を行き来しながら)全体的にかなり速いのでフェイスブックやインターネット、アメリカの大学名などある程度の予備知識をもっていないと、ついていくのが難しいかも知れないので、そういう方にはフェイスブックやSNS一般に関しては勉強してから行かれたほうがより楽しめるかも知れない。上記に述べた西の名門スタンフォード(今ではハーバードが東のスタンフォードと揶揄されるくらいまでの名門となった)も登場するし、イェールやコロンビアなどのアイビーリーグ(米国東海岸の名門大学の総称)の大学名が頻繁に登場する。

(*本エントリーは日付を遡って鑑賞した日付で投稿されています)

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。