新規連載 「いいね」と言える日本

少しブログの間隔が空いてしまったのを、急いで埋めたところ。しばらくブログが更新できなかった理由は、ソーシャルメディア関連の新作を執筆していたから。(言い訳にはならないが)

北米からソーシャルメディア最前線の事情をお伝えする本作には、かなり力が入った。北米に在住するソーシャルメディア・ブロガーとしての筆者の立場でしか書けないような内容のものを描きたかった。今ソーシャルメディアの現場で何が起こっているのか。まだ日程などは公表できないが、近々皆さんの目に触れることになると思うので、期待頂きたい。

さて、最初の著作「電子ブック開国論」(こちらも近々陽の目を浴びることになる予定なのだが、まだ詳細をお伝えできない)のブログ連載も終わった。60回を超える長期の連載となったが、電子出版を巡る時勢は、かなりの変遷を遂げた。ソーシャルメディアも同じくである。

今回ソーシャルメディア革命(仮題)なる本を書きながら、いろいろ調べるにつけ日本でソーシャルメディアの火がつく日は近づいていると感じた。厳密に言うと、それはすでに始まっていると実感する。ただ、我々日本人がもっているいくつかの文化的背景がその加速を阻む可能性がある。そういうメッセージを伝えたいと思って、新しい連載を始めることにした。

その名も 「いいね」と言える日本 である。 副題は 無名ブロガーの知ったかぶり日本人論 とでもしようか(笑) もちろん、これは私が高校生の時に一斉を風靡した石原慎太郎氏らの著作「NO」と言える日本をもじったものであり、私の今の立場はどこからどう比較しても、彼らのレベルにはいたっておらず、私が日本人論なんか展開しても誰も読んでくれないばかりか、非難轟々(ごうごう)になるだろう(笑) しかし、例え声は小さくても、それをつぶやき続けることで起こるのが、ソーシャルメディア革命である。そして、私はこのタイトルをとても気に入っている。

最近一連のツイッターを巡る議論がアメリカを騒がせた。特にツイッターのリツイート(RT)機能が濫用されることの意義についての諸氏のコメントを見るにつけ、思うところがでてきた。つまり、今の日本にソーシャルメディアが普及していくには、イエスもノーもなく、ただ誰かのコメントをそのまま(もちろんコメントを付けることもできるが)繰り返すリツイートではなく、フェイスブックが実装して、最近は日本でもミクシィなどで利用されるようになった「いいね」(Like)ボタンのような肯定的な支持、いわゆるエンドースメントが必要なのである。一票一票は小さくても、このポジティブな後押しが、一人の意見を社会運動にまで発展させることができる。その意義を伝えているのが、まさにソーシャルメディアなのである。今や世界最大のスピーチフォーラムとなったTEDや「音楽で世界の人々の心を一つにする」という意義で始まったPlaing for Changeなどは、ソーシャルメディアの最たる例で、これらはいわゆる経済活動を念頭に置かれたものではない。なので、マーケティングに特別な予算をかけるわけでもなく、ただ後押しする人たちがどんどん力を貸すことで運動が大きくなっていく。これがまさにソーシャルメディアの醍醐味というわけだ。

なので、ここでは海外在住の日本人の視点ということで、今の日本に必要な「気づき」についての刺激をどんどん与えていけるようにこのタイトルで少しずつメッセージを送るようにした。そして、もしもどこかの版元で興味をお持ちになるところがでてくれば、ぜひともご相談頂きたい。何を一介のブロガーが、と思われるかも知れないが、2年近く続けてきたブログの影響力は私自身でも驚くほどであり、最近では何かと声をかけてくださる方も増えてきたということに、私自身がソーシャルメディアの可能性を実感している部分である。

そして、これはアーティストだろうが、作家だろうが、インフルエンサーだろうが、革命指導者だろうが、教祖だろうが、みな同じことだが、活動に意義や可能性、そして才能を見出して「最初に集まってくれるフォロワー(あるいはファン、あるいは弟子)」や経済的にサポートしてくれるパトロンの存在(すなわち購読者)というのは、本当に有り難く感じられるものであり、その嬉しさは生涯忘れることのできないものだ。彼らなくしては、リーダーもアーティストもインフルエンサーも存在しないのである。

「要は売り込んでるだけだよねー」と思われた方、当たらずしも遠からずである(爆) 

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。