ウィキペディアンとの対話 ~関西ウィキメディアユーザー会@OSC京都~

関西ウィキメディアユーザー会のブース

ここ数日、ツイッターでウィキメディアあるいはウィキペディア(あるいはWikiwikiWeb)のコミュニティの方々とやり取りしていたのをご覧になられたことも多いかも知れない。
(今回は恐らく初めて、自分のTogetterトピまで立ち上がったくらいで、何となく有名人な気分 笑)

私は物書き、ソーシャルメディアの専門家の見地から、自身が高く評価するウィキペディア、あるいはウィキメディア財団の全プロジェクトに対して、その日本版でも末永く繁栄して欲しいと心から願っている。しかし、そのためには「ウィキペディアは誰のものか?」という議論を継続してしていかなくてはならない。
私の回答はとっくに決まっている。それは「ウィキペディアは未来の人類のために」である。そこで、また環境学の大命題「持続可能な発展」がでてくるわけである。このSustainable Development というコンセプトは、例えば企業にとっても、あるいは一家の家計にとっても(その点では往年の名フレーズ「明るい家族計画」というのがあるが 笑)重要なことだ。
では、この持続を可能にするためには何を考えればいいのか、それがスタート地点だ。そして、そのために私が自身の経歴やスキルなどを通じてできることというのは大きく分けて二通り、それは1 インサイダーとしての活動 (ウィキペディアを編集したり、翻訳チームなどのプロジェクトに入り貢献していくこと)、そして2 外部の専門家としての活動(ウィキペディアンの憂鬱のような作品を書いたり、セミナーなどで直接ユーザーや企業に対してウィキペディアの存在意義と抱える課題などについて解説と啓蒙を試みること)である。
ウィキペディアが未来に向かって生き延びていくためには、ユーザーの底辺からの底上げが必要だと考えている。層をもっと厚くしていかないと、管理者の数もどんどん減っていくだろう。(1万人とも言われるアクティブな編集者の数はそう大きく減らないだろうが)

この点で、やはりウィキペディアを直接編集している方々、特に管理人の皆さんと直接的な対話をしていくことは必要不可欠であると考えた。また私としても、自身の執筆活動に関してコミュニティの皆さんに間違った理解をして頂くことは望んでいない。適切な批判や建設的な意見があれば、それらをどんどん自身の視点に取り込んでいき、いいものにしていきたいと思っている。それらのコメントが私の考える上記の「持続可能な発展」にマッチする限り、である。

しかし実は日本のウィキペディアンの方々は多くが匿名で活動をされており、身分を明かされていない方がほとんどだ。(ちなみに、私も自身のウィキペディアンIDは公開はしていない ご存知の方はご存知だが、敢えて公開というスタンスは取っていないのでご理解頂きたい) そんな中でも数少ない団体の中に「関西ウィキメディアユーザー会」という有志の団体がある。今回は、ツイッターでのやり取りがきっかけになり、この会の方々にお会いするために京都で開催されたオープンソース系のコンファレンスOSC(今回の正式名称はオープンソースカンファレンス2011 Kansai@Kyoto)を訪れてみた。大阪から京都に一人で移動したのは久しぶりだ。
(ちなみに旅のお供はもちろん東野圭吾だ、仮面山荘殺人事件を読んでいたが往路だけで読み終わってしまった)

会場の風景
会場の風景
ワードプレスのブースには、先日Weekly CMSでプレゼンをされてたユリコさんの姿が。

そもそもオープンソースのコンセプトはアメリカの特に理系の間ではかなり成熟してきているが、一般的な文系人間にはなかなか理解するのが難しい。ウィキペディアはMozillaのようなオープンソース系のプロジェクトと比べると仕組みがやや異なるが、ウィキペディアレボリューションを読むと、オープンソース系のプロジェクトはインターネットの成熟過程で必然性をもって生まれてきたような感がある。この点で、このようなオープンソース系のコンファレンスがオープンソースそのものの普及と啓蒙に努めるというのは、ウィキメディアのコミュニティにとっても間違いなくプラスであろう。
(ということで、ようやくなぜウィキメディアユーザー会がこちらに出展されているのかを理解できた次第。会場には若い学生なんかのウィキプロジェクト信奉者がたくさん詰めかけて、バッジをもらったり質問をしたりしていた。コマンドのチートシートが大人気だったのはさすが)

関西ウィキメディアユーザー会のブース
関西ウィキメディアユーザー会のブース
テーブルの上にはウィキペディア10周年記念のバッジやスティッカーが。

会場では関西ウィキメディアユーザー会のメンバーの方数人と歓談することができ、非常に有意義なディスカッションの場がもてたと思っている。
会合は二日(金・土)で行われたが、二日目は仕事の都合で参加できなかったのだが、代わりに後日梅田で三人のコミュニティメンバーの方々と茶話会の場を設定頂き、そこでもいろいろディープなお話をお伺いすることができた。「憂鬱」に対して、その必要意義を再認識すると同時に、アプローチの手法についてはもう少し練りこんだほうがいいような気がし始めた次第である。みなさんどうもありがとうございました!

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。