(前回からの続き 世界を舞台にメンターやエンジェル、あるいは投資顧問として活躍されている吉田宣也さんに英語上達の秘訣についてお伺いしています)
Q3:では例えばここでいう「縦軸」同士や「横軸」同士のシナジーを利用して、英語を効率的に勉強する方法ってありますか?
吉田: あります。例をあげますね。
まずは、左の縦軸「聞く」と「話す」の相関関係を利用した上達法です。
☆1秒ディレイリピート法:英語を聞きながら、聞いたままをおうむ返しに口に出してしゃべる方法です。最初は意味がわからなくてもいいんです。また、知らない単語があったり、聞き取れなかった部分があってもいいんです。素材としては、ビデオを掲載しているニュースサイト、例えばCNN.comなんかがいいでしょう。内容や出てくる用語がわからなかったら、いったん関連する記事を読んでからこれにチャレンジするとだいじょうぶです。
立入:なるほど、これは通訳学校なんかでも最初にやるシャドウイングという手法ですね。
吉田:そうらしいですね。これはかなり有効なんです。注意事項として、発音も、アクセントも、抑揚も、全てまねることが重要です。これを続けると、「ほんとに英語みたいに聞こえる英語」が話せるようになっていきます(笑)
立入:あははは。確かに、ネイティブからすると全く英語に聞こえない英語を話す人って結構いますよね。勿論私の英語も昔はそうだったと思いますし。
発音のせいもあるんでしょうけど、それだけじゃないですよね。英語特有のイントネーションや強弱といったものを身につければ、格段にそれっぽく聞こえるようになりますし、第一相手にしっかり伝わるようになりますよね。
吉田:その通りだと思います。さて、次の例は、受信系の横軸シナジーを活かす例です。
☆字幕音声同期法: 名前は大げさですが、実はなんてことないんです。好きな洋画のDVDで、音声を英語に設定し、字幕も英語に設定し、字幕を追いながら音声を聞く訓練です。自分の英語レベルによって、最初は一度その映画を日本語音声・日本語字幕で観るとか、英語音声・日本語字幕で観る、とかしておけば、内容は頭に入るのでスムーズです。好きな映画、好きな俳優を選べば全然つらくない練習になると思います。慣れてくると、俳優がしゃべってることと、字幕に出ることが異なるときがあるのに気づきます。
立入:なるほど。あれ?気になったんですが、今あげて頂いた2つの例は、どちらも英語だけの世界で完結する勉強法で、日本語は介在しないんですね!
吉田:そうなんです。この2つの訓練では、日本語は頭から忘れ去って取り組んだほうが効果的だと思います。
慣れたら少し応用編にもチャレンジしてみて頂きたいと思います。たとえば、洋画DVDで、とくに好きな場面に絞って、まずは1秒ディレイリピート法を何度かやる。英語字幕あり、なし、の両方をやってみる。次に、音声ボリュームをゼロにして、字幕を観ながら自分が俳優の台詞をしゃべってみる。あるいは、英語のニュースビデオを聞きながら、1秒ディレイではなくて、1センテンス、または適当に、自分の頭のバッファーに収まる長さで一時停止し、その部分を繰り返して言ってみる。ただし、2度繰り返してみてください。2度目を同じようにしゃべるのが結構難しいことに驚くのではないかと思います。でもそれができてきたら、そのフレーズは半分自分に身についたと言えると思います。
立入:発音、抑揚、アクセント、セリフと一気に学ぶことができて実戦でもすぐに使えそうですね。映画を原語で理解できるようになると、俳優さんのアクセントなどに注意がいくようになって、誰々の話し方が好きとかがでてくるんですよね。ちなみに私はキアヌ・リーヴスの喋り方が好きなんですけども。あの斜めに構えた感じが何とも言えない(笑)
(続く)
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