【英語版レビュー】500万DL突破!世界を狙うブレインウォーズの抱える課題ー1

BrainWars自分ではそう認めたくなくても誰しも確実に年をとっている、それと同時に気づかないうちに「若者」の感覚からどんどん乖離していく。それを無視するのは自由だが、現実は認識しておかないとビジネスをやる上でとんでもない失敗を誘発する可能性がある。
常々そう思いながら、アメリカの若者の間で流行となるアプリなんかに注目しているのだが、その点で先月13歳になった長女がいいアンテナ役となってくれている。

「今学校で流行ってるアプリは何?」そう言って返ってくる答えの中には、常々アンテナを貼ってる筆者でさえ、まったく知らないものがあるので冒頭の認識を都度強くするのである。(以前にはFlappy BirdやSubway Surf、2048などまったく知らないのを教えてもらった)

で今回聞いたら「ブレインウォーズ」を複数の友達がやり始めて自分も始めたと聞いた。それなら知ってる。だけど前回チェックした時にはまだ英語版がダウンロードできなかったんだが、もうできるようになったのか。
ローンチ5ヶ月で500万DLを達成してLINEも投資したというこのアプリには期待できるところが多い。というわけで早速プレイ開始。

このゲームではS〜Dの5つのリーグがあり、毎週日曜日の夜に戦績に応じて振り分けされるようだ。筆者の場合たまたま日本時間の日曜日に始めたので、一日でリーグ振り分けとなりDリーグからAリーグに昇格。
この上にはトップリーグのSリーグの存在があるが、ここはなんとユーザー全体の上位0.1%(5,000〜6,000人程度)という超狭き門。すでにAリーグでも苦戦している筆者は果たしてSリーグに入れるのか(苦笑)(*現時点で筆者のグレードはイーグルで200〜500位あたりをうろちょろ)

それはさておき、英語版をしばらくプレイしてみていろいろ気づいたことがあるのでここでまとめてみようと思った次第だ。
(というのも、せっかくの日本IT企業躍進の大チャンスなのだから、もっと良い物にしてもらって億単位のユーザーを獲得してLINEに続いて欲しいからである、その一言に尽きる)

先行のQuizUpと比べるとUIもシンプルでプレイはしやすいが、英語の翻訳が一部決定的にまずいのに加え、いくつか改善して欲しい点があるので一ユーザーの目線で下記にまとめてみたい。(ローカライゼーションのプロとして、こういう案件を見るとほっておけないんですよね)

*ちなみにiPad版がまだないようなので、下記はiphone版(英語版)をiPad Miniでプレイしてでた不具合であることはお断りしておく。翻訳は同じだろう

【改善課題】

1.英語翻訳のまずさ
多言語翻訳を予定しているということだが、私は反対である。その前にいくつかある致命的におかしい英語翻訳をきっちり直すべきだ。
このアプリの売りは「言語を超越している」ということである。一度多言語かするとずっとフォローアップしないといけない、そんなことより英語を完璧にして、UI/UXの拡充に注力すべきだ。グレード(階級)が自分の言葉でわかっても大したことじゃない(笑)英語が苦手なアジア圏はともかく、他の地域では英語で統一したほうが最終的なユーザー満足度は向上するのではないか。

例えば下記が私が目にしたヘンテコ翻訳の主要な例である

League Up Zone
Conditional Grade Up
Information → Announcementのほうがいい
OptionのところのSE(Sound Effect?)が意味不明 (他に項目が増えるならOptionよりもSettingsのほうがいいかな)
HelpをクリックしてなんでUser Policy と Privacy Policyが出てくる?
Contact→ Contact Usがベターか
降参しますか?がRetireになっているのもよくない。

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ゲームの名前もだいぶ考えたのだろうが、例えば「タッチ・ザ・ブロック」の訳がFollow The Leaderは百歩譲ったとして、反対版のRの訳がUnfollow The Leaderは意味が通じない。
Follow The Order、Reverse The Orderとかでも良かったのでは。Bird WatchingもMajorityとかのほうがわかりやすいかな。

あと細かいがメインページのGradeの横のRankも厳密にいうとRanking(s)じゃないのかな。リーグ内の順位という意味だし

2.グレードの進化軸がわかりにくい
最初はみんな Chicken(ひよこ)から始まるのはいいが、その後の展開が亀、猫、犬、となったかと思うと急にコウモリになったり馬になったり、ライオンや象の後に海の動物になって、最後はペガサスやフェニックスのような架空の動物、というのがわかりにくい。どこにもチャートがでてこないので、自分が今どこにいて相手が上か下かもわからないのは英語圏では少なくとも混乱のもとだろう。将棋ウォーズの場合は級と段なので問題ないのだが、コチラの場合は工夫が必要だ。

3.500万突破の告知が毎回でてうっとうしい
ユーザーはプレイに集中したいわけで、別にユーザー数が増えることなんて気にもかけていない。ちょくちょく出てくるのは辞めてほしい。
宣伝はまだプレイしたことがない方々に向けてすべきではないか。
5M

4.トロフィー(功績)がない
Quizupには多様なアイコンがあって、例えばパーフェクトゲームを達成したとか、何回買ったとかで戦功バッジ(トロフィー)が得られるようになっている。これはプレイを盛り上げる。(Kloutがメジャーアップデートの際にこれを辞めて一気にユーザーを離れさせたというくらい)みんなが上に上がり続けられるわけじゃないので、ぜひなんか考えて欲しい。

5.プロフィール画面でワールドランクが見れない
なんで自分のワールドランクがクリックできないんだろう。(今のところ自分の近辺のランキングで一つ上か下の人のランクをチェックしてそれで自分で推算するしかない?)
いずれにせよ、自分のプロフィール画面はもう少し拡充させて欲しい。その割には先週のランキングとか見れるのは別に要らない気がする。

6.四則演算のアイコン
四則演算のアイコンが実際の画面と違う。準備中に頭の中が混乱するのでこれは直して頂きたい。
Operations
*実際には X は左下で ÷ が右下

7.メアド登録画面が何度もでてくる
一度登録したはずなのに、何度も登録を頼まれることがある。(その場合はメアドがプロフィールから消えている)

8.アイコンのミスマッチ
上部のカメラアイコンをクリック→共有設定
フレンドアイコン(友達マークに+)→なぜかソーシャルシェアになるのがわかりにくい

【要望】
1.トレーニング
トレーニングのところでぜひ毎回終わった後で、「もう一回」ボタンを追加して欲しい。何度やっても難しいものは難しいのだ。
あと、できたらよくやるゲームを何度もできるように並び替えできたら有り難い。不得意なゲームは最初のページに集中させて徹底的にやりこなしたい。
2.相手のプロフィールチェック
待ち時間の間に相手のアイコン(右上)をクリックしたら相手のスキルのレーダーチャートが見れるとかの工夫があってもいいのではないか。
3.対戦相手を友だち登録
どこかのブログ記事ではそれができるとあったのだが、まだ確認できていない。Quizupや将棋ウォーズでは友だち登録して進捗をチェックしたりできるのが楽しみでもある。Quizupはチャットまでできるが、それが要るかどうかは別として。
4.タイムシフト対戦の拡充
Quizupと比べると今ひとつスムーズでない気がするので、できたら改善して欲しい。

【今後の課題など】
全般的にQuizupと比較して計算問題が難しいためか、登録ユーザー比率が圧倒的に北米の割にはトップランカーは中国、日本、韓国、台湾と極東アジアに集中している。Aリーグのトップにアメリカ人男性がいるのだが、彼のIDが「NA(北米)’s Last Hope」となったり「Enola Gay(原爆を落としたB-29戦闘機)」となってたりしていることからも伺えるように、これがゲーム好きアメリカ人の琴線に触れるかが最大の見ものだ(笑)あるいは、あまりにアメリカ人が上に上がれないと「これはアジア人向けにできたゲームだ」とか言い始めるかも知れない、なんてのは取り越し苦労だろうか。と思われるくらいとにかくトップはほとんどアジア人。

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*Aリーグの現時点でのランキング 一位に注目

厳しいことも書いたが、素晴らしいところもたくさんあって、とても大きな希望を感じるアプリなので、資金も調達したことだし、ここはしっかりしたローカライゼーションの会社を使って完璧なUXを目指すべきだと思う。任天堂はこの点でお金を惜しまなかったので英語の質が素晴らしかった、それ以外の戦略はだいぶ誤ってしまったが。。

(多分続く)

PS:ちなみにどうせ多言語化するなら、言語変更させて欲しいかなぁ。。。ダウトカラーは英語でやるとやはり日本語よりは精度落ちます(苦笑)せっかくの多言語化も選択オプションなければ片手落ちのような。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。

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