1968年アメリカ大統領選挙に勝利した共和党のニクソンは「名誉ある撤退」(“Peace with Honor”)を主張し、ベトナム戦争を集結させ、対ゲリラ戦で疲弊した米国兵を帰還させることを主張した。南部戦略と呼ばれる米国南部の民衆に支持を訴えかける戦略が効を奏し、見事接戦を制することができた。
何のことを言っているのかというと、これは世界銀行の仕事を終えて米国に戻ってきたことではなく、つい最近私の身に起きたことである。実は今月から縁があって、ウォルト・ディズニーのリゾート部門のオンライン部門であるWDPROという会社でウェブプロデューサーを務めることになった。で、何が撤退なのかというと、今回の仕事を引き受けるにあたり、自身で現在立ちあげを行なっているLingoAcademy.TV、そしてこれまたご縁でお手伝いをすることになった「起業の神様」マイケル・ガーバー氏のドリーミング・ルームプロジェクトを除いた新規案件はしばらくの間手がけないことにした、ということである。
帰国後、自身の事業のあり方を巡り試行錯誤を繰り返した末に世界最大の言語学習支援動画配信サイトのLingoAcademy.TVを新たに起こした会社Logkr Media(ロッカー・メディア), Inc.を通じて行うということはお伝えした通り。しかし、すでに実質三度目の起業にあたる今回はさすがの私も現実的なプランを考えている。つまり当面収益の目処は立たない、しかし成功させるためには継続的な努力が必要になる。なんとかその間、自身のキーワードでもある「Sustainability」を維持しなければならない。独身の身ならいざしらず、妻と4人の娘を抱えた立場である。過去に相当な無理で家族を疲弊させた経緯もあるので、今回ばかりは同じことにならないようにかなり厳選してコンサルティング案件をいくつか進めていたのだが、半年近い時間を要して結局予想していたようなペースでは進まず、結果も得られなかった。しかし、その間、独自のアジアメディアを立ち上げるという構想はLingoAcademy.TV構想へと進化し、20日には1000本の動画を掲載した状態でのソフトローンチができる状態までになった。(正式ローンチは7月21日を予定)
経験則から、大きな「YES」(つまり成功)を迎え入れるスペースをつくるためには、時に大きな「NO」(失敗、あるいは拒絶)が必要となる。
やるだけのことをやって、後は自分の手ではどうしようもないステージに立った時、結果的に最後にできることは結果を受け入れること、そしてそれが良い結果だろうと悪い結果だろうと自身と向き合うということである。知人を通じて紹介してもらったマイケル・ガーバーとの40分ほどの電話での会話は私に準備されていた変化を受け入れるための最後のきっかけを与えてくれた。何かが起こりそうな気がしていたので、敢えて急いでその時間をつくってもらうように働きかけ、そしてそのように伝えた結果だったということもある。
とかく意識があちこちに向きがちな私だが、来年到来することが予想されるインターネットTVの時代に向けて、今ある構想をベストの状態で具現化させるためには今回のプロジェクトはまさに理想的なものだった。何を隠そう、小学校の時はミッキーマウスが大好きで、身の回りの品がミッキーだらけだったし、未だに上下反対の似顔絵も書けるくらいだ(笑)
というわけで、少しこれまでの仕事とは内容が異なるのだが、その延長線上と捉えて今回の仕事を受けさせて頂くこととした。2004年に再渡米した頃からずっとトップ・マネジメントしかしてこなかったので、ある意味非常に新鮮でワクワクしている。今回は米国の民間企業による初めての面接、そして、これまで一度も第一志望に面接で落ちたことがないという記録はなんとか更新することができた。それが何年かかろうとも、地道な努力を自身のスタートアップに注入し続けるつもりで、新しい職場環境からも多くのことを学んで成長した自分というリソースでその事業に貢献していきたい。今年でアメリカに来てからの人生が来る前の人生とちょうど同じになる。自身のアイデンティティは移民一世であり、バイリンガルな人材である、それをもう一度想起させてくれる貴重な職探しの体験をさせて頂いたことに感謝することしきりである。また、もちろんその前提として永住権を得ることができていたことに対して、何人かの恩人に改めて感謝。
というわけで、出番がやってきたので頑張ります(笑)画像は出番の図
2013 年 6 月 22 日
[…] 先日告知したように、今月からウォルト・ディズニー・グループの会社でウェブプロデューサーのお仕事をさせて頂くことになった。 小学校の頃、ミッキーマウスが大好きで猛烈に絵を […]