オンラインマーケティングといえば、最近の流行はやはりツイッター(Twitter)であろう。後発の日本では世界に比べてまだまだユーザーが少ないものの、登録されているユーザーの数はついに一億人を超えたと発表され、つぶやき(Tweet)の数は日ごとに増大し続け、グーグル検索の結果にも大きな影響を与えている。筆者は大学時代に環境政策学を専攻したという背景もあり、次世代型社会は地球環境にも優しい「最適化社会」であるという持論をもっている。その観点からするとツイッターはネットという一見無限だがそうではないスペースに誰の目にも止まらず、発言自体にそれほど意味をもたない、つまり価値の低い「ゴミ」を排出し続けるツールに成り得る可能性が高いという認識をもっており、実は登場当初から良い印象をもっていなかった。
しばらく経った今でも最適化とは全く反対のコンセプトをもつ、「双方向に一方的」な情報伝達の場を供給し続けるこのサービスは長続きしないだろうと考えているのだが、2009年末頃からの急成長により、最近はそのオンラインマーケティング効果についてだけは認めるようになった。例えば筆者の本名である「立入勝義」を日本のグーグルで検索してみると日にもよるが11,000以上の検索結果が表示されるのだが、日本でツイッターが話題になるまではこの数字の半分くらいしかなかった。(ブログを書く頻度が増えたということももちろん影響していると思うが、そもそもそのブログへのアクセス数にすらツイッターは大きな影響を及ぼしているのだから認めない訳にはいかない)なので、自身のポリシーを少し曲げてマーケティング目的にと割り切ってツイッターをしばらくは活用させて頂いている次第である。
話したついでにもう一つだけツイッターのポイントを述べておこう。これは別に筆者独自の意見ではなく、オンラインマーケティングに通じたもの、あるいはツイッターのヘビーユーザーならすぐに気づくことだろうと思うのだが、ツイッターが立場的に代弁するのは一時もてはやされたWeb2.0という世界というよりはむしろその逆でWeb1.0、あるいはウェブ以前のマスメディアをどちらかというと立場的に代弁するものである。これはとりもなおさず、ツイッター上でフォロワーが多い人物のほとんどがテレビやラジオ、あるいは雑誌や新聞といった既存のマスメディアに登場する一般的に認知度が高い人物、つまり人気のある人物であるということだ。この相関性については否定しきれないほどのデータがあるのだが、下記にその一部を表にまとめる。(オバマ大統領などでもあったいわゆる「なりすまし」もこの類に分類する。これはそもそも本物かどうか判別がつかないという本質的な問題点をはらんでいるからだ)
ツイッターのフォロワー数ランキングの例(日本)
ツイッターのフォロワー数ランキングの例(世界)
ちなみに筆者はツイッターで新しい人気者が誕生しない、ということを言っているわけではない。可能性は低いものの、かつてマイスペースやYouTubeなどで誕生したような新しいスターが誕生する場合もある。(可能性が低いという理由は利用者の数が膨大なことと、視覚的要素に訴えかける前者2つとは異なり、ツイッターが文字だけであるために尚更埋もれやすいということがある)あるいはネットを活用することで、これまでよりも一気に知名度を上げていくという人物が出てくる可能性もある。例えばアゴラブックスという電子出版会社を立ち上げ独自のソーシャルメディア的な活動を始めている池田信夫氏と、佐々木俊尚氏などの仲間は非常にうまくオンラインメディアを活用したアピールをしている成功例だと言える。
ブログに始まるオンラインの情報発信ツールは電子出版、囲い込み用の会員制サイトなどと強く結びつき、またビジョンを共にする仲間と協力しあうことでネット上に協力なソーシャルメディアのネットワークを構築することができる。オンラインマーケティングを駆使したパーソナルブランディングに成功した者同士が提携するこのようなネットワークはいずれ既存のマスメディア勢力をも脅かすような存在と発展していくであろう。このような観点で電子出版の意義を理解している者は世界的にも非常に稀であると思うが、その理論に行き当たった者はどんどん実践している。先に述べたように、そもそも執筆という行為自体が作家単体(あるいは編集者との共同)で完結することが多いため、やろうと思えばすぐに実践できる。ブログやツイッターで発信された情報はネット上に伝播すると同時にグーグルという検索エンジン上に残り続けるので、徐々に繁殖していくのである。
2010 年 7 月 19 日
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