「ウィキペディアンの憂鬱」を読み解く ~番外編 1~

日本語以外にも英語や韓国語でも出版していきたいと考えている野心作「ウィキペディアンの憂鬱」はまだ始まったばかり。
ここでは番外編と称してこの作品を読み解くカギや執筆の裏話などを解説していきたいと考えている。

まずあらすじだ。

<あらすじ>
「柳田礼人はロサンゼルス在住のソーシャルメディアブロガーであり、本業は電子出版業と翻訳で食いつないでいるものの、早く執筆業だけで生計を立てていきたいと考えている。ブロガーとして「電子ブックレポート」を配信して、日本でも知名度が上がってきたものの、まだまだ執筆だけでは食っていけず、商業ブロガーというものが本当に成立するのかと懐疑的になりながらも、自身の才能を信じて日々苦闘している。
柳田はとあることから、インターネット上の「人類の集合知」と呼ばれるウィキペディアの編纂に携わるようになり、ウィキペディアン(ウィキペディアのボランティア編集者の総称)の一人となる。そのスキルを使ってちょっとした金儲けを思いついた柳田は霜田という現地コミュニティの有力者から金を受け取り霜田の項目作成に着手するも、これがきっかけで柳田は日本版ウィキペディアの深い闇に身を投じることになる。。。果たして柳田が目にした「ウィキ」の闇と65人の管理者を含むウィキペディアンの苦悩とは?ソーシャルメディアやWeb2.0の先駆けとして誕生した「人類の英知の結晶」とも言えるウィキの存在意義と本来のあり方を世に問う衝撃の話題作。

勿論「衝撃」も「話題」も筆者の脳内の話だが、それくらいのインパクトがある作品だと考えている。

ウィキペディアのトップにはこういう表記がある。

ウィキペディアはオープンコンテントの百科事典です。基本方針に賛同していただけるなら、誰でも記事を編集したり新しく作成したりできますガイドブックを読んでから、サンドボックスで練習してみましょう。質問は利用案内でどうぞ。
現在、ウィキペディア日本語版には約 706,941 本の記事があります。

サンドボックスというのはウィキの執筆をするに欠かせないタグ(HTMLみたいなもの)言語の構造を理解し練習するためのページである。

執筆に対してのガイドラインとしては Wikipedia:基本方針とガイドライン に詳しい。

ここで述べられている五本の柱というのがウィキペディアの全ての指針の基礎であるとされている。下記がその五つである。

ウィキペディアは百科事典です。
~ウィキペディアは、総合百科・専門百科・年鑑の要素を取り入れた百科事典です。すべての項目は、独自の研究を認めない方針に従う必要があり、正確となるよう努力しなければなりません。ウィキペディアは、個人の意見・経験・議論を書き込み、自説を披露する演説台ではありません。また、単なる情報やデータを無差別に収集する場所でも、雑学集やトリビアコレクションでもありません。自費出版の請負業者でも、無政府主義や民主主義の実験場でも、ウェブページのリンク集でもありません。

ウィキペディアは中立的な観点に基づきます。
~これは、どの観点に基づく主張もしないような項目を書くように努力することを意味します。時には、複数の観点を記述する必要もあるでしょう。その場合、各々の観点を正確に記述します。また、各々の観点の背景を説明することにより、その観点は誰の主張なのかを読者が理解できるようにします。そして、どの観点も「真実」や「最良の観点」と紹介しないようにします。中立的な観点に基づくということはまた、可能な限り検証可能で信頼できる出典を明記するということをも意味します。とりわけ論争となりがちな話題では出典の明示が求められます。

ウィキペディアの利用はフリーで、誰でも編集が可能です。
~すべての文章はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 (CC-BY-SA)およびGNU Free Documentation License (GFDL)下にライセンスされており、これらに従って配布したり、リンクしたりすることができます。項目は誰でも変更可能で、どの個人も特定の項目を支配できない、ということを受け入れて下さい。したがって、あなたが投稿したどんな文章も容赦なく編集される可能性がありますし、コミュニティによる再配布をとがめることもできません。著作権を侵害するようなものや、CC-BY-SAやGFDLと矛盾する方法でライセンスされているものを投稿しないようにしてください。

ウィキペディアには行動規範があります。
~他のウィキペディアンと同意できないときにも、彼らに敬意を払い、礼儀正しくしてください。個人攻撃や抽象論を振り回すことは避けて、編集が白熱しても冷静さを維持してください。Three-revert ruleを守って、無益な編集合戦に陥らないようにしてください。ウィキペディア日本語版には、編集・議論の対象となる項目が704,516もあることを忘れないでください。誠意を持って行動し、あるひとつの点を例証するためだけにウィキペディアを混乱させることのないようにしてください。他の人の言動を善意にとってください。寛大になって、受け入れるよう心がけてください。

この5つの原則の他には、ウィキペディアには、確固としたルールはありません。
~良い編集で満足を得るためにも、項目の編集や移動は大胆に行ってください。完璧さは要求されていません。また、台無しにすることについて心配しないでください。項目の過去の版は全部保存されているので、知らずにウィキペディアに損害を与えてしまったり、取り返しのつかないほど内容を破壊してしまう、といった心配はありません。しかし、あなたが書いたことは何であっても編集履歴上に後々まで残ることも忘れないでください。

また、一見矛盾するようだが、日本語版にはこれに加えて「ルールを無視しなさい」というガイドラインも存在する。

Wikipedia:ルールすべてを無視しなさい
もしも、ウィキペディアの改善や維持をしようとするときに、いまあるルールが邪魔になるのなら、(ケースバイケースで)そのルールを無視してください。

そしてこのセンセーショナルな追加項目については、本ページの裏側、編集者同士の意見交換の場であるノートで熱い議論が繰り広げられている。

そして、これらはウィキペディアの世界を理解するほんの第一歩に過ぎない。

<関連エントリー>
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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。

1件のコメント

  1. setdrghg
    2011 年 3 月 9 日

    up yours

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