よりよいネットコミュニティ形成とコミュニケーション力の向上のために 「ボタンの掛け違え」議論を無くしてみませんか

あんまり普段ネットの炎上騒ぎとかには触れないようにしてるんですが、先日Twitter経由で質問を頂いたのを皮切りに、ちょっとだけ注意を払っています。
もともと私はツイッターがあまり好きじゃなく、それは日本で流行りだしてまもなく、レベルの低い議論や、難癖をつける人たちを見て辟易としたからです。
多くの場合は匿名での攻撃となっており、相手はかなり有名な方だったりするのでそもそもフェアじゃない。

で、最近ではツイッター内の有名人も増えてきたので、実名(じゃなくてもリアル性のある人)VS実名の対決も増えてきた、と。

興味深く読んだのは、@TSUDAさんのツイートで発見した下記の炎上騒ぎ

「francesco3氏」と「めがねおう氏」の炎上ツイートまとめ

何ともむごいですが、最初の論点とまったく違うところの話になっています。私がどちらの味方をするかは言うまでもないですが、「取材対象に敬意を払うのがプロ」という主張に、なんでそこまでムキになるんでしょうか。

こちらには続きがあります。違うメディアに波及したようで。
「francesco3氏」と「そらの氏」の炎上ダダ漏れ その後 まとめ

少しポイントを整理しましょう。
まずはネチケットからです。ツイッターに関するマナーについては、渡辺由佳里さんの著書ゆるく、自由に、そして有意義に ストレスフリー ツイッター術で学べます。社会人としてのマナーがあればいいだけだと思うのですが、社会人というよりは、人としての、というのが正しいかも知れません。

人間同士意見が異なるのは当然ですが、やり取りするにはお互いに敬意が必要です。(もちろん感情的になるのはよくあることで、私も気が短いので、よく分かります。)

ここで何ができるのかを考えてみました。その結果、一つ分かりやすい例を挙げて、「日本人が議論下手」と言われる理由について、私なりの説明をしてみたいと思います。半分個人攻撃になってしまうのですが、この際仕方ないと思いました。あくまでも、「ボタンの掛け違いのやり取りの例」だと思ってください。発言者さんに悪気があるわけではなく、日本ではしょっちゅう起こっていることだと思います。英語を勉強すると、特に、日本人特有の議論の「論理性のなさ」に気付かされることがあります。そして、そこを強化しないと論理的な英語を駆使できるようにはならないのです。英語を学んだ人は日本語まで変わると言われますが、それは脳内で大きな変化が起きるからです。

ここでの例はYahoo!の知恵袋に挙げられたとある質問についてです。質問の内容は同じなのですが、二つ別々の質問が挙げられており、それぞれ全く異なる回答がベストアンサーになっています。

質問は
「私は作家東野圭吾で、先生にファンレターを出したいので、どうやって出したらいいか教えてください。」
というものです。気持ちはよく分かります。

では回答です

回答1 悪い例

真面目に言わさせてもらうと、東野圭吾を芸能人・タレントのカテゴリに分類させてある時点で終わってる。
彼は小説家であって芸能人では無い。ファンを名乗るんならそこらへんからしっかりさせろ。

好きな作品は?容疑者Xとか手紙とかだけなんて言わないでちょうだいね。そんなミーハー心だけでファンレター送った所で(しかも返信用付き!笑)迷惑がられるだけだから。

でも、あなたがミステリーに夢中になることは凄く嬉しいこと。島田荘司や真保裕一なんてオススメですよ!是非本屋で見つけたら手に取ってみてください!

ひどいです。ひどすぎます。正直いって、この人はただ他の作家の宣伝がしたかっただけかも知れませんが、名前が挙がってる二人の作家さんの評判を損なうような事態にまでつながりかねません。

何がひどいのか?

1. 質問に答えていない
2. マナーが悪い
3. 関係ないことを答えている

いたって自己中心的であり、助けを求めている人に手を差し延べている姿勢はまったく感じられません。
これが回答になるのは仕方ないですが、ベストアンサーに選ばれるというのは、はっきりいって冗談以外の何者でもないです。

では、良い例はどうでしょうか。

回答2 良い例

出せますよ。出版社にお送りください。いろいろな出版社で発行されている場合、発行している出版社であれば、どこに出しても、作者へ送ってもらえます。

確実に届くのは、一番新しい本が出た出版社のその文庫(文庫本の場合)の編集部宛に出すのが無難です。
たとえば、講談社文庫であれば、〒112-8001東京都文京区音羽二丁目12番21号 講談社文庫編集部 東野圭吾様
などで届きます。

参考になれば。

なお、出版社住所は、後書きなどの後のページに書かれています。
また、ちょっと特殊ですが、以下のサイトからも、送れます。
http://www.bunshun.co.jp/galileo/message/

最後に基本的な事ですが、出版社を経由しないファンレターの出し方は、原則としてありません。作家などのプライバシー保護の観点と押しかけたりする人を防ぐためです。
まぁ、どういう書き方でも届きますよ。(そもそも、ファンレターであることくらい編集部が気づくでしょうし。)

いたって丁寧で、具体的な説明がしてあります。口調も丁寧です。

私はZEN ENGLISHという英語教育の連載で、英語の会話はキャッチボールである、何度も話しています。多くの人はそれを聞いて、何も新しいものじゃないと思うようですが、そういう人の大半は私が言ってることの理解ができてないと思います。何故なら、日本語のコミュニケーションはキャッチボールじゃなくとも成り立つものがかなり多いからです。相手の言ってることを細かく聞いてなくとも、何となくとかあ・うんの呼吸、あるいは行間を読むことで会話が成立してしまう、これが日本語のコミュニケーションです。良いとか悪いじゃありません。その性質を理解することが重要です。何故なら他の言語とは全く異なるかも知れないからです。 だから「日本の常識は世界の非常識」とか言われるわけです。でも、それもみんな聞き慣れちゃってて、その内耳に入らなくなっていきます。つまり日本人は全体的に「麻痺」してしまっている感覚があると思うんですね。世界の喜びや痛みに共感できなくなってきている、共通項探しがコミュニケーションの大前提だと以前も書きましたが、それができないのでコミュニケーションなんてできる訳がない。

そして、共通項を探すための最初のステップがリスニングです。相手の言う事を聞く行為です。
私はよく関西人は英語が得意な人が多く、グローバルスタンダードに近いと言いますが、それはあながち冗談ではありません。笑いの文化が成熟している関西の地では、みんなが笑いを取ろうと思って、ボケたり突っ込んだりするチャンスを常に伺ってます。つまり、笑わせ上手は聞き上手なわけです。だから、漫談の文化はどちらかという関西には根付かず、漫才やコントが流行ったわけです。

ちょっと感性的なエントリーになりましたが、日本でソーシャルメディアが成熟するために、この意識革命は何とかして通過しないといけないと思っているので、このテーマでは事あるごとに投稿したいと思っています。


日本で起こるべきソーシャルメディア革命の姿とは。。。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。