しばらくブログが滞りがちでしたが、今日は嬉しいニュースです。
それはズバリ久しぶりに新刊のご案内です!
前著「検証東日本大震災 その時ソーシャルメディアは何を伝えたか」から実に1年。
新刊のタイトルは
「世界を変えたソーシャルメディア革命の落とし穴 ~「マス」を呑み込んだ「ソーシャルの波」は次にどこへ向かうのか」
です。版元は日本文芸社。発売は6月29日(今週の金曜日)です。
ご存知の通り、私は昨年10月から世界銀行東京事務所でソーシャルメディア広報のお手伝いをしております。過去の3冊の著書は全てアメリカで書いてきましたが、今回は初めて「日本で生まれた」本です。そう、出版というのは本当に子供を産むようなものです。
セレンディピティと言えば聞こえがいいですが、私は何かとこじつけて考える癖があります。今回、日本で生まれてくるこの本について考える時、どうしても思いを4女のアガサに馳せてしまうのです。何故か。
1冊目の本は「電子出版の未来図」(PHP新書)という本でした。最初の本をPHPから出せたということは非常に光栄なことでした。
本は綺麗な赤色の書籍で知的なイメージです。これは聡明な長女のハンナにそっくりです。
2冊目と3冊目は半年ほどしか間を空けずに、ディスカヴァー・トゥエンティワン社から出して頂きました。
「ソーシャルメディア革命」と先ほどの「検証東日本大震災」がそれです。
ご存知の方も多いと思いますが、我が家の次女アメリと三女クレアは双子です。この2冊の本は、同じディスカヴァー携書から出ていて、色も赤と青で双子みたいです。
ここまで来た時、4冊目のことが気になりました。何となく出版と我が家の子供たちの姿が重なってきたからです。
ちなみに、我が家の上の3人は皆大阪で生まれています。その後私たち家族はアメリカに移住して、しばらくしてから4番目の娘が生まれました。アメリカは出生地主義を摂っているので、4女だけがアメリカ人として生まれました。(現時点では日本国籍も保有しています)
私は4人の娘を産んでくれた妻の苦労に応えるように、せめて4冊は出版したいと考えていました。そうしている内に今回の出版が決まったわけですが、4冊目はこれまでの3冊とは異なり、逆に日本で書き上げることになりました。
では、この4冊目はどんな本でしょう。ちなみに4番目のアガサが生まれる時に私たち夫婦は男の子じゃないかと思っていました。上が3人連続で女の子だったからです。しかし、蓋をあけると、男の子まさりなとっても活発な女の子が生まれてきました。毎回アメリカに帰る度に、私が一番長く時間を過ごすお気に入りの娘です。上の3人はすっかりレディーっぽくなってきたのですが、さすがに一番下は5歳なのでまだ天真爛漫。
感情表現もストレートです。
今回は私たっての希望であった、ハードカバー(サイズは新書)でお出し頂けることになりました。帯も決まってます。
少し長くなりましたが、もう一つ言わせてください。
「電子出版の未来図」の原型となった「電子出版開国論」をブログで連載していた際、私はまだ紙の出版は経験していませんでした。(電子では100冊以上プロデュースしました)その時に言っていたことで、今は違うかもな、と思っていることが一つあります。それは、電子出版では出版社を変える必要がないという話をしたことです。
本を出してみて思ったことは、出版というのは作家と出版社、もっと厳密に言えば編集者の方のタッグマッチです。
本の企画から、書き上げ、校正にタイトルを決めるに至るまで、ここで交わされるキャッチボールは本当に密度が濃いものです。
写真撮影を例に挙げると、よく被写体(女優とかモデルとか)は写真家と刹那的で擬似的な恋に落ちると言います。写真家は相手をそれくらいの気分にさせないと、本物の表情を解放してあげることができないのだとか。
出版をする度に、作家と編集者は少し似た様な関係に陥るのではないでしょうか。もちろん、極めてビジネス的で、かつプラトニックなものですが、売れる本を作るという一つの目標のために、お互いの力量を信じ、委ねあい、そしてコメントをしあう。そうしていい本を作り上げていきます。
多くの作家はきっと、いろんな編集担当とつきあいながら、多くを学び自身の技量を高めていくのでしょう。なんとも人間臭いドラマがそこにはあります。
3冊も書いてるんだから4冊目は簡単に書けるだろう、と少したかをくくっていたところがなかったとは言えません。しかし、昼間に仕事をしながら本を書き上げるのは本当に難しいことでした。実は4女が生まれる時、私はこれとまったく同じ体験をしました。(4女はすごい難産だったのです)
その点で、今回編集を担当頂いた日本文芸社の松原さんには、本当に根気強く、時には叱咤激励を頂きながら力不足の私を支えて頂き大変感謝しています。
私の周りのベストセラー作家の皆さまとて、恐らく毎回それなりの苦労をして本を書かれていると思います。
そして残酷なことに、苦労して書いた本が売れるとは限りません。
しかし、楽しみながら全力を尽くして書き上げた本が形になる時には、何ともいえない爽快感と充実感があります。
今回の本もソーシャルメディアをテーマにしました。「温故知新」をテーマに、ソーシャルメディアがもたらす人間関係の変化などについて私なりの分析を書かせてもらいました。
そして、「世の中大きく変わったように見えて、人生の本質は実はそんなに昔と変わってないんだよ」という意味で、多くの先人達の金言や格言、故事成語などを盛り込ませて頂きました。(最初私が提案したタイトルは「ソーシャル時代を生き抜く人間力」というものでした)
ソーシャルメディアが日本の格差社会をどう変えていくのか、あるいはいけないのか。利用する代償とはなんだろうか。そういう普段私が疑問に思っていることを、私自身の言葉で書き連ねてみました。普通にソーシャルメディアのことを書くだけなら、私より遥かに知名度があり、優れた見識眼のある津田大介さんの「動員の革命」を超えることができません。ただ、ソーシャルメディアに興味がある人だけを対象にしても、市場が広がらずじり貧になるような気がしていたのも確かです。
いかにしたら、この素晴らしいソーシャルメディアの醍醐味をより多くの人に知ってもらうことができるだろうか、そういう意味で敢えて斬新な切り口を提示してみたつもりです。普通のソーシャルメディア本に慣れている方がこの本を読んだら「えっ?」と思うかも知れません(笑)
この本を、あまりソーシャルメディアに馴染みのない、あるいは始めたばかりの方がたに手にとって頂きたいと思います。
そして、ソーシャルメディアにどっぷり浸かって、今後この世界がどうなるのか、そして、そもそもなぜソーシャルメディアが誕生するようになったのか、ということを知りたい方にもオススメしたいと思います。
第1章にもありますが、この本は私のちょっとした「舞い」です。いささか不恰好ではありますが、読み進めて頂く間に、その動きの一つ一つに、あるいはどこか一部に、読者の方の人生をより充実させることのできるちょっとした気づきをご提供できることができたら、嬉しいです。