BlogWorld Expo2010 レポート7 ~キーノートスピーカーの顔ぶれ~

今週ラスベガスのマンダレイベイホテルで開催されている世界最大のソーシャルメディア・コンファレンスであるBlogWorld
参加者は4000人超、スピーカーは300人というすごい盛況ぶりである。(前年比で50%だそうだ)
ここに来て感心するのはこのイベントを大手企業が積極的にサポートしているということだ。GOLDスポンサーにはFORDとKODAK、そして会場となったMANDALAY BAY、彼らは噂によると数十万ドル単位の協賛金を出しているとのこと。SILVERスポンサーにはSOUTHWEST航空やペプシ、YouTube、COORS、そしてブロガーが情報を発信する拠点となるNew Media LoungeはSONYによって提供されている。

何人ものトップインフルエンサーと話したが、みんなソーシャルメディアが成熟する条件として社会の認知度と大手企業の理解と協力が必要だと述べている。
FORDのような大企業がマスメディアではなく、ソーシャルメディアをサポートしているという点で、このソーシャルメディアの盛り上がりを看過できる状況ではないと判断しているということが伺える。 ソーシャルメディアはマスメディアの対極にあるため、既存大手勢力(マスメディアや広告代理店)は積極的にこの動きをサポートすることはないだろう。これは電子出版で大手出版社や取次、そして印刷会社が見せた動きと同じことだ。しかし、ブロックバスタービデオやタワーレコードが電子化の波の前にあっけなく倒産したように、時代の流れには誰も逆らえない。業界シェア一位であってもそれは同じことなのだ。この点で、競合がソーシャルメディアの波に乗る前に速くインフルエンサーをつかまえたいと願うのは、ソーシャルメディアを理解していれば当然のことである。思うに、今回この壮大で意義深いイベントが日本で黙殺されようとしている(少なくとも筆者にはそう感じられる)背景には、相変わらず大手依存、広告依存の体質があるのではないか。

しかし、ほっておいてもやってくる時代の流れを止めようとするのは無謀なことであり、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という孫子の兵法を思い出して、日本のインフルエンサー諸氏には正確な分析を期待したい。インフルエンサーとしての指標を表すKloutスコアのトップレベルがこれだけ集まっている場に、日本の広告代理店やシンクタンク、コンサルタントと言われる人が誰も来ていないということは、少なくとも彼らはアメリカのソーシャルメディアの現状を何も理解していないということだ。時代の流れをつくるのはあくまでも一般ユーザーであり、草の根ブロガーである。大事な存在である彼らに、そういう知ったかぶりの人間の言うことに耳を傾けてもらいたくはないという切実な思いで、この孤高のレポートを続けている。(正直、反響のなさにいたく失望している状態である)
以前にも述べたが、日本でのソーシャルメディアの勃興にはいくつもの大きな大きな壁がある。電子出版の波は結局日本を襲ったものの、体制の反対にあって中途半端な形でしか成熟していない。ソーシャルメディアには反対勢力として大手メディアや広告代理店というとんでもないツワモノがいるだけに、電子出版よりもはるかに大きな抵抗力が働く、というか働いている。(もちろんどこかで趨勢が変われば、一気に乗り込んでくるのだと思うが)

下記は今回メディアのインタビューに応じているキーノート・スピーカーのリストである。所属と役職を見るだけで、大手企業がどれだけこのイベントとソーシャルメディアブロガーを中心とするこの新しい情報発信時代に備えようとしているのかがよくわかる。

Rob Barnett — Founder&CEO、My Damn Channel
Rohit Bhargava — SVP Digital Strategy & Marketing, Oglivy 360 Digital Influence
Bonin Bough — Director of Social Media, Pepsi Co.
Susan Bratton — Co-Founder & CEO, Personal Life Media
Brian Clark — CEO, Copyblogger
Adam Carolla — Founder, ACE Broadcasting
Frank Eliason — VP – Social Media, Citibank
Jeffrey Hayzlett — Author of “The Mirror Test”
Hugh Hewitt — The Hug Hewitt Show
Penn Jillette — Penn & Teller, Penn Point Broadcast
Cali Lewis — Host, GeekBeat TV
Jim Louderback — CEO, Revision 3
Dermot McCormack — EVP – Digital Media, MTV Networks
Marc Monseau — Director of Social Media, Johnson & Johnson
Scott Monty — Global Digital & Multimedia Communications Manager, Ford Motor Company
Darren Rowse — CEO, Problogger
Sonia Simone — Senior Editor, Copyblogger
Brian Solis — Principal, FutureWorks
Scott Stratten — President, UnMarketing
Doug Ulman — President & CEO, Livestrong

CitiBankやJ&JにはどうやらSocial Mediaという部門があるみたいだ。PRやマーケティングの部門が進化してきているのを伺える。
パネルセッションのいくつかでも話題にのぼったし、会場にきているパリっとした華やかなキャリアウーマン風の女性を見ても、会社の花形的な存在のPRの部門の担当者がソーシャルメディアを管轄しているのがよくわかる。昨夜は最近新しくできたラスベガスのAriaというホテルの地下にあるHazeというクラブで、盛大なレセプションイベントが開催され、参加者全員が招待されてすごい賑わいを見せた。筆者がこれまで参加してきたITやゲーム業界のコンファレンスでは考えられないよな盛り上がりだったのも、こういう理由で合点がいく。

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。

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