で、ハードはさておき中身の議論に入ろう。
まず、二種類の端末が考えられる。一つはキンドルを意識したE-Ink対応の筐体。これは低価格バージョンである。
iPadがリリースされる前に、アマゾンがキンドル1を無料で提供した例があるが、これと同じようにプレミアム感が漂うような無料端末を作って、ブランドのロゴ入りで特別会員に無償あるいは5000円を切るような安い価格で提供してしまう。→持っている人は優越感があり、しかも只なのでとりあえず持ち歩く。もともと普段から行っている行為を継続させるのがポイント。つまり電子ブックリーダーという新型端末であることを意識させないように心理的障壁を下げる。
コストについては、かなり競争が厳しくなるだろうから2年プランなどの契約を利用するなど携帯キャリアからのキックバックを使ってコストを下げればいい。
ブランド例:ANA、AMEX、ソフトバンク証券などのデイトレーダー会社
上顧客がちょっとした優越感に浸れるようなブランドがいい。
常に持ち歩かせることで、まずは端末に親しみをもたせる。その後は使い慣れてきたら、勝手に他の機能を試し始める。その際に電子ブックなどの中でもなじみやすいものを提供してあげればいい。これと親和性が高く、目玉コンテンツとして投入されれば確実にヒットしそうなのが、アルクが提供している「英辞郎」のようなオンライン辞書の機能である。3Gで自動で辞書が更新されて便利だ。また漢和辞典や国語辞典、医療用語などの専門用語集のようなものも適宜追加できるようにできれば大変便利で重宝がられるであろう。既存の電子辞書は液晶画面が小さくて苦労している方も多いに違いない。これを内包することで、既存の電子辞書産業なんか一網打尽にできるくらいの破壊力がある商品ができあがる。なによりオンライン辞書は絶えず進化する上に掲載紙面に制限がないので、いくらでも語彙や用例が増えていくというとんでもない力を秘めているのだ。これは入力機能に関しても言える。実際にJUSTSYSTEMはATOKのオンライン版を発売しているし、最近はグーグルもマイクロソフトのIME (Input Method Editor:言語入力システム)に対向する独自の日本語入力システムをリリースしており、グーグルの膨大な検索エンジンに基づいたシステムでどんどん向上するようなシステムになっているので使い勝手が大変良い。
ホスティング機能:DRMなどではなくサーバー上で管理し、シンクロさせる際に権利を確認する仕組みにする。
つまりこれで、さまざまなオンライン書店からコンテンツを購入できるようになる。
極めつけは「マンガリーダー機能」である。講談社・小学館・集英社の三社の週刊誌を定額制で読めるようにしてしまう。いずれ、例えばインターネットの回線事業(ISP)やオンラインがゲーム、そしてアダルト産業でそうなったように過当競争の果てに定額制課金が主流になってくるのは目に見えている。実際には各読者がもっている時間というのは皆同じで限りがあるので、それならば定額制課金にして24時間読み放題にして、それをできるだけ廉価で提供することでユーザーの囲い込みを計ってしまったほうが競争相手に対して優位に立つことができ、早めにユーザーの囲い込みができてしまうことは言うまでもないだろう。小さく頻繁に儲けるマイクロトランザクションモデルが成立するのは、まずは定額読み放題のインフラが構築された後、特定の優良コンテンツとか特別な書き下ろし作品とか限定作品に限って、ということになるだろう。JPEG(やEPUB)で対応することによりiTunesを介しなくても販売できるモデルを確立する。
2010 年 8 月 16 日
[…] 第3章 こんな端末が欲しい2 – 電子ブック開国論 (36) | 立入勝義の意力(いちから)ブログ - 北米発IT情報・電子出版・ソーシャルメディア 2010.08.16 at 10:43 AM 2 […]
2010 年 8 月 16 日
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