コミュニケーションの基本は共通項探し ~ ZEN ENGLISH

久しぶりにZEN ENGLISHのエントリー

と、いっても非常に短いものである。

今週LAを訪れていた某社長さんとの会話を楽しんでいた中でのこと、「コミュニケーションの基本は共通項を探すこと」だということで一致した。
彼とのつきあいはもう7年以上になるのだが、英語がまったくできない状態から果敢に海外進出を目指し、ようやく最近形になりつつある。それも誰が聞いても知っているようなビッグブランドやライセンス、そしてNYでも最上級とされるミュージアムを含めた顧客との口座が開設されつつある状態である。彼の英語も、もちろん上達してきている。多くの場合筆者が通訳にあたるのだが、やはりそれでは満足できないらしい。コミュニケーション好きの彼は、自分の力で少しでも「ダイレクト」なやり取りを楽しみ、相手に自分を印象づけたいという。話しながら相手をじっくり分析していると、服装や過去の経験、色んなことでこの「共通項」は見つかるものだ。

日本人にとって英語という外国語でのコミュニケーションは難しいものである。しかし、基本が分かっていれば、気持ちをつなげるのはそう難しいことではない。巷では英語公用語化の影響も受けて、とかく英語のスキル的な部分についてのディスカッションが増えているようだ。しかし、根本的な部分はこの「共通項探し」であり、人とのコミュニケーションを楽しめるかどうかにかかっている。つまりこれは日本語で話していてもまったく同じことなのだ。母国語である日本語を話している時には、この部分は自然に実行できているか、あるいはそれほど意識していなくて、結果的には自分のコミュニケーションのレベルを制限してしまっているかのどちらかになっているかも知れない。

私が17年前に初めてアメリカの地を踏み、周りが「外国人」だらけになった時、ほとんど私の英語は通じなかった。しかし、一緒に時間を過ごす中で、何とか共通項を探そうとして、意外に学校で学んできた世界史の知識が役立つことが分かった。世界史では地理や文化史などについても深く学んだので、時には先方がびっくりするような内容も話せたことがあった。こういうことから自分の印象が相手の中に形成されていくし、ある意味、眼の前の異国人に対して自分が日本人の代表となっているような気持ちでコミュニケーションしていたことも多かった。

英語の学習でつまづいている人は、一度普段自分がとっている日本語でのコミュニケーションの内容を見つめ直してみることだ。
コミュニケーション上手な人のそれと比較したり、助言を聞いてみることで英語力も向上するに違いない。文化や歴史、育ちの背景といったところで共通項が俄然少なくなる外国人とのコミュニケーションでは、ハンデが急激に大きくなるのだから日本語でできていないことを英語でやるというのには無理がある。そして、この英語という言語こそが世界の人間をつなぐ共通項になってきているということを忘れないでいて頂きたい。英語ができるから国際人になるのではなく、国際人としてのマインドをもって生活していく中で英語力が向上していくのだ。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。