アメリカの銀行ATMでのキャッシュ預金手続きが遂に簡易化される

最初にアメリカに来たのは19歳の頃だった。
周りに渡米したことある人などいないような環境だったが、今から思えばよくやってきたものだ。
なにせ800ドルしか現金をもってなかったのに、旅程は40日もあったのだから。到着前に予約していた宿泊先はSFのユースホステル5日分だけ。800ドルを40日で割ると一日20ドル、宿泊費込みだと思うとかなり無謀である。
(仮に誰かが行くとしたら止める予算だ 笑)

さて、そんな頃からアメリカはずいぶん様変わりした。インターネットはまだ25.6kのモデムとかしかなかったし、大学時代に携帯電話をもっていたらかなり目立った時代である。しかし技術は確実に進化しても、文化というのはなかなか変わらないものである。
たとえば前から思っているのだがアメリカ式のバス・トイレ共同形のレストルームは衛生的な観点からも文化的な観点からも改善したほうがいいと思っている。(底の深い浴槽にしたほうがいいというのはもちろんのことながら)水周りでいうと、ボイラーも古い。日本の瞬間湯沸かし器メーカーが出てきていて少しずつ浸透しているが、まだまだ知らない人がほとんど。

と、前置きが長くなったが、銀行の文化を日米で比較すると大きな違いがあるというお話。
先日日本ではドライブスルーの窓口を設置した銀行があって話題になったが、車社会のアメリカではドライブスルーなど昔からある。
日本と大きく違うのはチェック(小切手)があり、現金社会ではないアメリカでは公共料金や家賃、学費の支払いなどありとあらゆるところで紙幣の代わりにチェックが大量に流通していた。なぜ過去形かというと最近時代の流れに伴い、電子化が進んできてチェックをもたない人が増えてきたからである。私も実は前に切らしたまましばらくもっていなかった(今回2年ぶりに作った)。
チェックをアプリでスキャンするだけでデポジットができるようになったり、口座間の電子送金も便利になった。こちらは時代の恩恵である。

しかし、もうひとつの大きな違いはなかなか変わらないものと思っていた。それが、タイトルのATMでの現金預け入れ機能である。
もちろんこれまでも現金での預金はできたのだが、コインも含め、そのままスロットに入れれば自動処理される日本とは違って、いちいち封筒に入れて入金伝票を同梱しないといけないというのが非常に不便だった。しかも換金に時間がかかるチェックならいざ知らず、現金であってもすぐに利用可能(Available)にはならないという不便な点もあったのだ。

で、いつものようにデポジットをしようと思って、職場のあるアナハイムのとあるATMに向かったのだが。。。何か勝手が違う。
あれ?と思ったら現金でそのまま入れられるようになっていたというわけ。(コインはまだ無理)

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(遠景)
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(近景)

ちょうど裏に全米最大手行のBank of AmericaのATMもあったので、試しに見に行ったらなんと、そちらも変わっていた!

BOA
(遠景)

BOA2
(近景)

こんなの初めて見たのでびっくりして、思わず職場にいる「少し」年配の秘書に確認してみるとやはり驚いていた。
(実はうちの近所の支店ではまだ導入されていないことが後で判明)

現金入金がすぐにAvailableになるのもなんとも嬉しいところなのだが、果たして技術の恩恵はアメリカ人のバンキングも変えるのだろうか。まだまだ抵抗が多い人がいるかも知れないが、いざやってみれば「なんで今までこれができなかったの?」と感じる人が多いだろうこと請け合いである。19歳で道端に無造作に乱立するむき出しのATMを見たときは衝撃を受けたことを思い出した。ところ変われば品変わるとはいうものの、技術の平準化は世界を包むのだろうな、きっと。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。