待望のキンドル国際版がいよいよ出荷開始となった。
これから世界市場におけるアマゾンの猛攻が始まる。国際版のローミングが無料なのは確かにすごいことだ。私も早速注文したのだが、これで4台目の購入。キンドルを4台も買った人って珍しいんじゃあるまいか。(これを買うために下位機種となるKindle2の2台は売り払ってしまった。キンドルのコンテンツはアマゾンとの契約で売ることはできないが、De-Registerするだけで誰でもすぐに使えるようになるキンドル本体に対しては中古市場が存在する)これで会社に残っているキンドルは大画面のDXだけとなった。出張から戻ったらオフィスに到着してたら嬉しいのだが。(といっても米国内で使っているだけなら何ら違いはないのだが)
ところで、キンドルは今回も値段を下げたし、またこのたびのスペック改訂は過去の物に対して新バージョンを完全に上位互換とするものなので、そろそろ度重なる価格改訂(まるでアップルみたいだ)に嫌気がさした人も多いのでは?それともまだまだキンドルを購入している層はパスポートをもっていないような人々だと思われているのだろうか。(ちなみにアメリカ人のパスポート保有率は14%ほどに過ぎないと言われている)
今回のキンドル国際版リリースの背景の一つにあるのは過熱しつつある電子ブックリーダー市場で他社を牽制することが一番大きかっただろう。前回の値下げは新学期を迎える学生に対してだった。さすがにクリスマス商戦向けにもう一回下げるとかはないだろうが、この冬のホリデーギフトにはあちこちで重宝されるだろう。来年ラスベガスで開かれる恒例のCES(Consumer Electronic Show)では大量の電子ブックリーダーがあふれているに違いない。またもう一つは著作権問題でなかなか重い腰をあげない海外の出版社に対する牽制、というか挑戦だ。キンドルは英語圏では猛威を震うだろうが、日本・台湾といった市場では一部のユーザーにしか指示されないだろう。(iPhoneのキンドルアプリはかなり売れるかも知れないが、もし対応したらだが)また南北朝鮮と中国には出荷されないようだ。これは3Gのパートナー契約によるものなのか、はたまた違う思惑があるのか。
ところで、業界筋では来年の春頃にもう一度キンドルがバージョンアップするのではないかという見方がある。これはEPUB形式に対応するというもので、ここでさらに値段がさがればかなりお求めやすくなる。だが、EPUB対応にするのにはそれなりのリスクが伴う、現行のフォーマットにしたがうほど著作権管理が簡単ではなくなるだろうから。しかもキンドルストア上のコンテンツの多くに対してEPUBへのファイル変換作業を行うのはそれなりに大変だろうと思う。(ぜひ当社開発のオーサリングツールを活用して頂きたいものだが 笑)
いずれにせよ、アメリカでキンドルストアで日本語や日本文化に関連したコンテンツを販売している当社としては願ってもないチャンスである。単純計算で一気に100倍!とはいかないまでも年内に50倍程度の売り上げになってくれることを願いつつ、コンテンツの大量投入を続けていくつもりである。今月は先月の倍くらいのペースで売れているので巷を賑わすキンドル人気が売れ行きに拍車をかけているのは言うまでもない。米国の大手バーンズ&ノーブルズも新たなリーダーを発表したようだし、乗数で売り上げが伸びていくこの市場、まだまだ先行者利益は続きそうである。出版のご相談はぜひこちらまで!
2009 年 10 月 20 日
これっ てさ、LGが全面的に作ってるんですよね。
ソニーのOEMもやってますよね。
わざわざ、うちの会社まで本社R&Dのメンバーがデモしに来ましたが、電子ペーパーが今後どれくらい普及するのかわからないと言うのが本音です。
なので、wikiと同様商業的にはニッチな市場でしか生き残れないかと思います。
日本であればエプソンや富士通、凸版などが力を入れていますが、体力がどこまで続くかが鍵ですね。
市場が広がる前にレッドオーシャンの気配がしています。
ただ、元ソニーの出井さんの言うようにニッチなものこそが次世代の高付加価値と言えれば、このキンドルみたいなものこそその象徴とも言えるのでしょうね。
うちの会社も少量多品種に方向転換しているので、というかせざるを得ないのでこういう世界での勝ち方を研究する必要があるのでしょうね。
とまぁ、人の日記に土足で足跡残しました。
おしまい。
2009 年 10 月 22 日
だだおさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。電子ペーパーそのものの議論は分かりませんが、電子ブックリーダーは少なくともそれをアプリレベルまで落とし込む、つまり専用デバイスとして限定しなければ間違いなくこれから普及してくると思います。レッドオーシャン化ということに関しては、私が見越している将来の電子ブック市場を考えるに、まだまだ既存のリーダーは正しい方向性でデザインされていないと思いますので、それをできて、かつコンテンツの提供と通信のインフラを整えることができたら、その端末と関連の団体は一気にブルーオーシャンで順風満帆のもとに突き進むことでしょう。やはりカギは今の出版業界を見るのではなく、「紙媒体ではできないことをデジタル化する」ことにフォーカスすることです。