【3月30日、国民から広く愛された志村けんさんがコロナウイルスによる肺炎で逝去された。彼がドリフターズに加入したのが私が生まれた歳と聞いて、なんとも悲しい気持ちになった。全員集合時代からずっと見てきて大好きだった。(慎んで冥福をお祈りしたい】
そんな彼の命を奪ったコロナウイルスが憎いというフレーズがソーシャルメディアでも拡散されており、私も同感である。しかしそんな世界を苦しめているコロナウイルス(COVID-19)対策について、大きな朗報がもたらされたかも知れない。それが下記の記事だ。
EUSA Pharmaとパパ・ジョヴァンニ23世病院(イタリア、ベルガモ)が重篤な呼吸器合併症を発症したCOVID-19患者でシルツキシマブを検討するための観察的症例対照試験の開始を発表 (JIJI.COM)
下記のような説明がある。
EUSA PharmaのLee Morley最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「私たちは、COVID-19の結果として重篤疾患を抱えた患者を助けるべく、シルツキシマブの潜在力を究明するための本研究を支えることができて、うれしく思います。中国がCOVID-19の結果としての急性呼吸窮迫症候群の発症におけるIL-6の役割を示す初期データを発表したことを受けて、EUSA Pharmaは喜んでパパ・ジョヴァンニ23世病院を支援し、適応外使用でのシルツキシマブを供給するとともに、この一連の患者からの初期転帰データの収集・分析・公表を支えていきます。私たちは同院に加え、イタリアおよび世界の規制当局、その他の研究機関とさらに協力して、世界的な流行病というこの危機的な時にあって、シルツキシマブの潜在力を十分に理解していきたいと思います。」
ここにあるシルキシマブという薬は一般には極めて馴染みの薄い薬かと思う。免疫治療に用いられる薬で、かなり特殊、よって薬価も高い。しかし、実は私はこの薬が今回のコロナウイルスに効くのではないかと思って、密かに調べておりここの記事に出くわした。コロナウイルスはサイトカイン・ストーム(免疫系を暴走させ臓器などに炎症を発生させたりする)を引き起こし肺炎を急速に悪化させることで知られているが、どうも対象としているサイトカインはIL-6(インターロイキン6)のようで、これを特別のターゲットとして抑制するのがシルツキシマブ(Sylvant)なのである。
そして、なぜ私がそれを調べていたかというと、昨年6月に特発性多中心性キャッスルマン病と診断されて、自身が7月から投与(最初は3週間おき、現在は4週間おき)を受け続けているからだ。この病気は難病で、日本で最も最近指定難病に指定された病気でもある。(指定難病331)私の場合全身のリンパ節が腫れ、特に首のリンパ腫が大きかったため、病理検査などをしてもらい百回以上の血液検査と、他の病気の検査を受けて病名が確定した。(他の可能性を全て除外されないと診断が降りないタイプの病気である)当初は悪性リンパ腫の疑いが強かったのだが、最終診断はこちらであった。
しかしこの薬は現在日本では未認可であるため、日本にいるキャッスルマン病患者は別の薬(トシリマブ通称アクテムラなど)で治療を受けている。私は日本人でBCG抗体(詳しくは一連の記事を参照のこと)もある上にシルキシマブをアメリカの病院で投与されているというかなり珍しいケースになる。(キャッスルマン病の症例は日本でも数千単位、米国ではもう少し多いがそれでも極めてレアである)
シルツキシマブの投与を受けるまで私のCRP(C反応タンパク質)とESR(血沈)は極めて高い数値であった。(具体的にはCRPが77.1 でESRが80)下記のグラフを見れば投与の効果が一目瞭然である。いわゆる抗がん剤治療と同じセクションで治療を受けているが、私の治療は「免疫治療」(Immuno Therapy)と呼ばれるもので、キャッスルマン病(iMCD)に対する治療としてはかなりの臨床実績がある。(実は末娘のEczema(アトピーの一種)治療でもDupixentという免疫治療注射が劇的な効果を発したことから、我が家だけでも二件の実績)
日米で目の前に繰り広げられているコロナウイルスの惨状は本当に見るに耐えない。今や藁にもすがる思いの人類だが、一刻も早い根絶を目指して、世界が一致団結して協力してくれることを願ってやまない。
こちらはESR(血沈)徐々に下がって80から38までいった *2月に急上昇した原因は不明