葬送のフリーレンは海外でも大ヒット間違いなし

「葬送のフリーレン」をご存知ですか?

やや普段とは趣向を変えて、漫画とアニメの話。週刊少年サンデーで絶賛連載中の「葬送のフリーレン」をご存知の方も多いと思う。実は筆者はこの原作漫画とアニメが大好きである。ドラクエ世代であり、「ロードス島戦記」世代であり、D&Dも学生時代に遊びロード・オブ・ザ・リングを観た(ちなみに両方オンラインゲームの翻訳監修までしたが)世代としては馴染みのあるファンタジーワールドなのだが背景設定がだいぶユニークであり、そこには盛者必衰の理とか、もののあわれ感、人生の儚さと希望というものが散りばめられている非常に哲学的な作品だ。

すでに1000万部を突破していたが、これがアニメ開始とともに1700万部になったというから人気の凄さがうかがえる。(今月最新刊の12巻が発売される)過去10年に観たアニメで最高、いや、多分人生で観たアニメで一番面白いかも知れない。漫画でも過去10年読んだ新作の中で最高に面白いし、マイランキングでもTOP5には入るだろう作品。

日本ではNetflixで試聴できるが、海外では主にCrunchyroll なのか。(まだ英語版は観ていない)検索すると下記のような画面が表示された。すでに44000件以上の「いいね」がついていることからも大ヒットの予兆がうかがえる。ちなみに英語のタイトルは「Frieren: Beyond Jorney’s End」葬送の部分を少し英語版では変えてある。進撃の巨人は「Attack on Titan」だったが、これも今思うとなんかちょっと違うようで英語圏的にはうまくハマった

ちょうど世界的にヒットした進撃の巨人が終わり、タイミングもいいのでこのフリーレンはきっとネクストタイタンとして世界を席巻することになるであろうと信じている。鬼滅や呪術、最近ではSPYxFAMILYなど名作タイトルはたくさんでているが、その中でもフリーレンが一番人気になるだろうと思うのはまず

1)馴染みのある世界観であること。西洋ではドラゴンや魔法使いが出てくるようなファンタジーは定番であり、ロード・オブ・ザ・リングやゲーム・オブ・スローンズの大ヒットを見てもわかるようにとても受けいれられやすい。エルフやドワーフといった世界観は日本よりも遥かに浸透していると思う。

2)バリアフリーであること。これは残虐なシーンや、グロいデザインのキャラクターがいないことが大きい(刺激が足りないと思われる可能性も逆にあるが)特にストーリーラインが繊細で女性的である。ドンパチばかりで盛り上げる他のアニメよりも、戦闘間にある人間味あふれる「クエスト」の部分で老若男女がホッコリできる作品なのである。(作者のどちらかが女性なのではないかと思われるほど)鬼滅や呪術、進撃に関しては特定の画像が見たくないとか、残虐なシーンが嫌という視聴者が相当数いたに違いない。

3)コスプレ要素がたくさん。登場するキャラクターの多くはアジア人テイストが強くないので、世界のコスプレイヤーたちが楽しめる要素が強い。主役のパーティ陣以外にも、出てくる魔族も個性的でそのファッションもナイスである。コミコンなどのイベントではみんな、コスプレで盛り上がるのでこの要素を十分に持っている。

3)人間 VS 魔族 の構成であること。国内では大人気のSPYxFAMILYが今ひとつ伸びないのではないかと言われてる点の一つが、ヨルが殺し屋で敵対国の人間を殺していくシーンにあると言われている。今の御時世、敵対国とは言えただの人間で、視点によって善悪が変わるというだけで、「悪」なる人間を作り出すだけでコンプライアンスに引っかかるのか、気持ち的に引っかかる人がいるのかわからないが受け入れられにくくなるようだ。この点フリーレンの世界では敵対するのは滅ぼされた魔王の手下である「人の心を理解できない」魔族か、ドラゴンなどのモンスターである。魔法で粉々にされても、刺されて跡形も無くなっても大丈夫。

4)アニメのクオリティが高いこと。SPYxFAMILYのアーニャの声を担当した種崎敦美ら豪華声優陣を招いているに加え、とにかく映像クオリティが抜群に高い。制作スタジオであるMAPPAの本気度が見て取れる作品である。筆者は大抵の場合漫画かアニメのどちらかしか惹き込まれないのだが、フリーレンに関してはどちらもいい。アニメでは戦闘シーンが細かく描写されるので、そこが素晴らしいと思う。

これらからグローバル大ヒット間違いないと思われる「葬送のフリーレン」、まだ当作品に触れていない方にはぜひとも漫画かアニメ、どちらからでもいいので好きな方から試して頂きたいと思う。最初しばらくはおとなしい展開が続くので退屈するかもしれないが、アニメでいうとエピソード5くらいから一気に面白くなるのでしばしの辛抱である。英語字幕や吹き替えのレベルも高かったらいいな。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。