「城咲仁氏が語る「悪質ホスト問題」 発端は石原都政の歌舞伎町浄化作戦 テレビでは議論されない本当の問題点」を読んで

筆者が勝手に注目している「悪質ホスト問題」だが、かつて人気ホストとして一世を風靡した城崎仁氏が語った内容に感銘を受けた。問題の本質がきっちりまとまっている非常に素晴らしい記事だと思ったので共有したい。

城咲仁氏が語る「悪質ホスト問題」 発端は石原都政の歌舞伎町浄化作戦 テレビでは議論されない本当の問題点(デイリー新潮)

詳しくは記事を読んで頂くとして、簡単にまとめると現在の若い年齢層を中心とした「推し活」メインの風潮というのは昔と全然違うもので、これに石原元都知事の介入が影響しているのだという。

城咲氏は語る

城咲:2005年に当時の石原慎太郎都知事(1932~2022)が打ち出した歌舞伎町浄化作戦が原因で、昔のホストクラブが衰退していったこととも関係していると思います。

これが原因で店が早く閉まるようになり、これまでメインだったマダム層や夜職の客層を取り込みにくくなったのだという。さらにコロナ禍が追い打ちをかける形で多くの「優良」店を苦境に追いやる反面、「もぐりの店」が闇営業をしながら生き延びたことにより、生活苦に陥ったホストがそちらに移動することになったのだと。

そして、そんな店は次第に若い女性に目をつけるようになり、支払い能力を有しない未成年にまで手を広げるようになっていった。「売掛」というのは昔からあり、銀座でも慣習的には行われていたのだが支払い能力以上の売掛を行うような慣習は昔はなく、ツケで飲むのが逆にイキだった男性側の世界とは違い、ホストクラブではその場で払うのがカッコいい飲み方だったとか。(金額が大きいので大半はカード決済だろう)

筆者が大きな問題で、実質無効ではないかと思っている現行の「青伝」に対しても的確な説明があった:

城咲:一部の店は、会計の総額だけが書いてある伝票(青伝票)にサインさせて、売掛の証拠であるかのように使うわけです。本来、青伝というのは、正規の高いお酒を入れた時に足りない金額について発行するもので、明細はもちろん、住所、氏名、年齢、勤め先、身分証のコピー、これは私が飲食しましたと全部書くものです。ところが今、問題となっているお店の青伝には、明細すら書いてない。ですから、売掛だけどうこう言っても、どうしようもないんですよ。青伝票では本来、売掛はできないはずなのですが、さも取れるかのように脅していることも問題です。

なので、やはり今の「青伝」は脅迫に使われている実効力を有しないものなのだろう。それをもったホストがお客さんを追いかけ回して、現金決済を要求する。もちろんお金の流れは誰にもわからないし、店はどちら側からでもお金を回収できれば構わない。(言わずもがなカード決済の場合は履歴が残るが、現金払いにはそういうものはない)そして、店への支払いだけを支払えば自分の取り分は「のんで」でも売上ランキングを高くしていき目立つのが目的になるような行動が目立ってくるようになっているという。

その一方客側にも問題があり、支払わずにトんでしまうお客さんも多いし、そもそも支払い能力がないのにそういう場所に通うことにももちろん責任がある、と。

非常に面白い提案だと思ったのが、ホストに対して長者番付を復活させるというアイデアである。もちろんみんながこぞって納税するような状況になれば、それだけクリーンになっているということイメージもよくなるだろう。またそうするためには、ある程度は回収しないと納税できないのでちゃんとやるようになるだろうというものである。なんとでも調整できる「売上」を誇るのではなく「納税額」を誇るホストの世界、それは何とも素晴らしい気がする。もちろん未成年の入店は禁止にする。お酒をメインにしている場所でファミレスではないのだから当然のことだ。歌舞伎町のホストクラブにまた一斉摘発が入ったというニュースもあった。人の生命にも関わる部分なので、くれぐれも当局には規制を強化して頂き、健全な昔のホストクラブの姿を取り戻してもらいたいものである。
(筆者はまったく興味はない、が 笑)

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。