Teaching without Violence

ソーシャルメディアで痛々しい事件が拡散したので久々に「開国談義」カテゴリで取り上げてみる。

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体罰はダメだが、勧善懲悪では見えない今の学校現場の闇 (アゴラ)

昨今日本では各界におけるモラハラ・パワハラ・暴力の事件が報道されている。これは、国内における人権意識に急速な変化を求められているということではないかと思う。特に「暴力」や「未成年への対応」においては日本はかなり欧米より遅れていると感じている。

アメリカでこんな事件ないわ、と思ったら昨年似たような事件がカリフォルニアであったらしい。音楽の先生が人種差別用語を連発する生徒に挑発されてボコボコにしている。もちろんそんな状況でも暴力行為で裁判沙汰である。

筆者は体罰には断固反対である。何があっても殴ってはいけない。これは徒も同様。教育の現場に暴力を持ち込んではいけない。(言葉の暴力も同様)
私の地元は大阪でも最も不良が多いので有名な地区の一つだ。小中学校では、先生もビシバシ殴ってた。野球部の顧問が部活で先輩をボコボコにしているのを見たし、実際私も連帯罪でビンタをくらった。
教室でも先生がしょっちゅう生徒を殴ったし、時には女生徒が先生を挑発して、喧嘩になることすらあった。少し下の後輩の代で、先生がみんな病院送りになり、窓ガラスは入れても割られるから入れないようになったとか。もちろん生徒同士でも暴力が多発、昼休みにはドラゴンボールみたいにコロシアムつくって喧嘩大会。強い男子には喧嘩ランキングがつく。バカバカしいが、日本の教育現場にはまだまだそんな時代の名残が残っている。部活もそうだ。要はしごきや体罰がないとまともに人を育てられないと言っているのと同じこと。

声を大にして言いたい。この問題を根本的に解決するためには「教師」VS「生徒」の構図だけではいけない。生徒を殴る暴力先生も、性的なちょっかいを出したり盗撮したりするエロ先生も、教師が手を出すまで調子に乗って挑発する悪ガキも、真面目な教育の現場にはふさわしくない。よって「退場」となるべきである。

つまり司法や当局の介入が必要な「事件」なのである。
なんでみんなはこの話をしないのだ。暴力事件なんだから警察を呼べばいいのだ。学ぶ気がない生徒には「退場」を命じればいい。特に高校は義務教育でないのだから、退学にすればいい。性犯罪を犯した教師はバンバン逮捕して牢屋に入れて教員資格を剥奪すればいい。(日本は本当に未成年に対する犯罪の罰が軽すぎる)

問題にすべきは日本の「事なかれ主義」であり、隠蔽体質である。生徒が明確な遺書を残して自殺しても「いじめの実態はなかった」と言わざるを得ない現場に、警察を呼んだりしたらえらいことになる、と思って無理やり隠そうとする現場と現場の指導者と環境、ひいては法整備に問題がある。お互い無理をすることはないのだ。
これはブラック企業の問題に通じるものである。
いまだに人権意識が低い、これに尽きる。先進国の中ではワーストクラスだ。

いくら隠してもネットですべて露呈してしまう昨今、もうそういうこと自体が問題だといい加減気づくべきだ。アメリカの学校では小学生ですらちょっとした暴力で退学になる。その子に学ぶ権利があるのと同様に、周りには「平和に学ぶ権利」があるのだ。彼らの権利を阻害している。

「暴力を否定するなんて現場を知らなすぎる人間の綺麗事だ」
「何があっても暴力はよくない」


そんな2つの意見は噛み合っておらず、議論にすらなっていない。周りの生徒は被害を被っているのだから、社会全体が真面目に考えるべきだ。カウンセラーが機能していないという問題から、予防線を引くことができていない。暴力は最後の最後である、そんな状況になっていてどちらかが手を出したといって攻めるのは正しくないと思う。殴られるまで挑発する人間と、我慢の限界がきて殴ってしまった人間に優劣つけるのは間違っている。そんな「ほこ×たて」は要らない。

教育の現場がもしも暴力無しに解決できないと思っているのならそれは間違いである。世界にはまったく暴力がなくて平和に成り立っている授業も学校も山程ある。
綺麗事を言うだけで、実際その場にいたら自分だって殴ってしまうような人間のセリフにも特に意味はない。あの現場にいたら、大半の大人はキレるだろう。殴るか、自分がいなくなるかどっちかしかない。
そんな各論を話し合わず、そもそもこういう事態に「学校」がどのように取り組むべきか。臭いものに蓋をするだけのお粗末な対応しかできなかった日本の教育の現場に「喝」を入れたい。そんなんだからいじめも自殺もなくならないのだ。


立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。