(1からの続き)
オンライン選挙運動の解禁を求めるOne Voice、創設者の一人である江口晋太郎さんが胸中を語る。
公職選挙法の衝撃
W「今の公職選挙法に対する不満と、それを変えたらどうなるのかという点についてお聞かせください」
E「大体、インターネットとビラや掲示板を同じ扱いにすること自体が間違ってますよね。それで、選挙が始まるまではみんな一生懸命に活動してるのに、選挙が始まったらピタっと止まっちゃう。どれだけ不自然なんだと。それで、街頭演説とかに精を出すわけなんですが、あれをただうるさいだけと感じてる若者は多いと思うんですよね。あと、みんな普通に耳を閉じてるから、刺さるべきところにちゃんと刺さってない。これだけの若者がインターネットに触れているんですから、インターネット上できっちり運動を展開すればより広範囲な有権者に声が届くようになります。街頭だと声が大きいほうが勝ちになっちゃうし、なによりコストがかかり過ぎます。そうするとどうしても支持母体の大きな候補が勝ってしまう。」
W「今や世の中は動員の革命(津田大介さんの著書のタイトル)を語ってる時代なのに、変ですよね」
E「ネットはバーチャルで社会から切り離された世界ではなくて、現実の延長であるという見方が必要だと思います。社会におけるネットの市民権がまだこの国では確立されていないということなんですよね。それでは選挙が本当の意味での民意や社会構造を反映させていることになるとは思えませんね」
ONE VOICEが目指すもの
w「ONE VOICEのことがよく分かっていない若者に向けて、どういう変化を起こそうとしているのかをお聞かせください」
E「ONE VOICEっていうのは、市民の声が反映される世の中になるということです。今だとNO VOICE、民意が政治に反映されていない状況です。これによって若者の政治的関心が高まれば投票率も上がるはずです」
W「私も常々、これだけ携帯端末が普及していて人口を上回る数があるんだから、いっそのこと全員一緒に携帯電話で投票しちゃえばいいんじゃないかって思うんですよね。極論ですが、投票率100%になって初めて、民意の反映と言えるんじゃないかと。もちろん衆愚政治を懸念する方も多いと思いますが、少なくとも国民投票のような状況にはそれを実施して欲しいな、と。あと某芸能人の方も言われていることですが、選挙が起こっていることをあまり知らせたくないところがあって、そういうところは大きな組織票をもっているところだと。彼らは何があっても投票するから全体の投票率が低い方が有難い。相対的な力が強くなるから」
E「世代格差は大きな問題ですよね。若者が関心をもてるような社会構造になっていない。もちろん若者側にも問題があると想いますが、社会側における問題のほうが大きい」
持続可能な社会を目指して
W「そういう面ではこれから少子高齢化を迎えていく日本で若者の声が反映されていないというのは問題ですよね。社会を背負って立つのは彼らなのに。みんないろんなこと言いますが、同世代から見て今の若者(ポスト団塊ジュニア世代)の特徴ってあると想いますか?もちろん一言でいうと難しいと思うんですが、敢えて一言で!」
E「僕達の世代というのは、バブルがはじけた後の世代です。一番重要なのは成功体験がないってことですね。だから自分たちで何かができるという自信がない」
W「我々の頃は受験地獄や受験戦争という言葉があって、とにかく競争競争の時代でしたからね。だから勝利した人にはそれなりの成功体験がある。だけど、逆にあまりにも枠にはまりきっているから、全体を俯瞰したり柔軟な考えをもついわゆる「アウト・オブ・ボックス」の思考に慣れていない人が多いと思います。私は大学受験で惨敗して海外に逃げてった組ですから、だいぶ違いますけども」
E「そうですね。だから、そういう若者たちに自信の成功体験を与えてあげたい。ちょうどデジタル・ネイティブと言われるくらいにインターネットや携帯端末、パソコンの扱いなんかには長けていてインターネットにも慣れ親しんでいるんですから、それを活用して彼らの声を組み上げていく環境を整えてあげるのがいいと考えます」
団塊ジュニアの役割
W「一方、我々団塊ジュニアにもまだまだやれることがあると思っています。それはポスト団塊ジュニア世代と、我々の上の団塊世代にいたるまでの全ての層との仲介役になることです」
E「そうですね、そういうファシリーテーター的な役割をしてくださる方がいると助かります。我々には知識も経験も乏しいのは目に見えているので。それがないと世代間が断絶したままになってしまいますから」
W「私は常々、日本にはこういうファシリーテーターとか、ある意味通訳のような仲介役をする層が薄いと思っています。ウィキペディアのコミュニティを巡っても同じような会話をとあるウィキペディアンの方としたことがあります。ソーシャルの世界でもそうですから」
(続く)
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