ALS Ice Bucket Challenge 挑戦の意義

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もはや当ブログで説明する必要もないくらいですが、世界で話題のALS Ice Bucket Challengeに挑戦しました。
挑戦のきっかけを作ってくれたのは高校の同窓生であり起業家の伊藤一彦君(スマイルプラス)。
一々名前挙げませんが、世界中でかなりの著名人が参加。日本でも有名な起業家やら政治家やら芸能人を巻き込んでの大騒動に。
アメリカでは一部の官僚や政治家に対して規制や警告文がでたり、発起人の一人が溺死したりということでも話題に。

この運動の寄付先団体の紹介(英文)はコチラ
日本語ではコチラコチラによくまとまっています。ALSというのは”Amyotrophic lateral sclerosis”の略で日本語で筋萎縮性側索硬化症というそうです。私は恥ずかしながらまったく知りませんでしたが、本件をきっかけにその存在を知り、あのホーキング博士が抱えている病気だと今回知りました。

ソーシャルメディアのお膝元は米国の発。今回もたくさんの有名人を巻き込む騒動となり、それが逆に誰かの癪にさわったり議論の的となる、というのは毎度のこと。(主な批判はコチラなど)要は各自が自己判断と自己責任で行動すればいいのだと思います。

私はもうアメリカ暮らしが長く、こちらの寄付の文化やソーシャルメディアの潮流をよく理解しています。なのでこのような運動が取り沙汰される背景について理解しているつもりですが、問題意識を感じないわけではありません。下記が私なりのディベートです。

<良い点>
誰も知らないような草の根運動の活動と意義に注意が集まる
有名人の名前がメディアで取り上げられることで、一気に話題が拡散する
短期間に寄付がたくさん集まる(昨年の同時期に比べて30倍以上の6,250万ドルが集まったと報告(8月23日時点))
お金が無くても啓蒙運動に参加できる(*ちなみにルールでは氷水を被ってもいくらかは寄付すべきとなっているらしい)

<問題点>
強制意識を感じて気分を害する人がいる
ねずみ講的なシステムで急速に多くの人が巻き込まれていく
実業家などの著名人はいいが、露出が売りの芸能人を巻き込むのには違和感(既に一部芸能界で反発の兆し)
著名人に対する「偽善」「売名行為」という中傷
寄付が一つの団体に集中しすぎる
他の団体が似たようなことをしてくれば、スパム化していく可能性がある

これらは例えば自然災害などの寄付キャンペーンの都度よく議論されることに似ています。
(実際に東日本大震災の際にも、国内にも寄付が必要なところがたくさんあるのに、海外にお金を持ち出すべきではない、と米大手新聞が記事にしたことがあり、私も含んだ日本人数名がそれに反論したということもあります)
私が2008年のNPO立ち上げの際に調べたら、当時アメリカのオンラインチャリティ業界は7000億円産業でこれはポテトチップスとポップコーンを足した市場規模だと説明されたことがありました。資金集めが常に必要な非営利団体は常に寄付を集めるための競争をしており、オンラインマーケティングの成功は欠かせません。

私が一番問題視しているのは、最後の点です。米国ではキリスト教の背景から(ホームレスへの支援含め)募金運動というものは常態化しており、あくまで自己判断というのは定着していますが、そうでないところでは違和感がでても仕方ありません。
また、このような動きが加熱してきて、要求がどんどんエスカレートすればチャリティ業界そのものに対する不信感や反発意識がでてきても仕方ないと思うのです。また、他のNPOとしては二匹目のドジョウを狙うところがでてきても仕方ないと思います。それくらいどの団体も資金集めには腐心しているからです。

私自身もこの運動の広がりに問題意識を感じるところがあるものの、結果的には24時間以内に参加しました。なぜなら、「ソーシャルメディアを通じて草の根運動を支援する」というのは私がCharity GlobeというNPOを立ち上げた際のスローガンだったからです。私の力不足により、そのNPOは活動停止中ですが、そのスピリットから参加を決めました。

というわけで、動画は下記の通り。

三人を指名することになっていますが、私は

バイリンガールのチカさん
GeekBeat.TV(でまだやってなくてやる気のある誰か)
Patrick Erlandson(ビジネス・パートナーで、人身売買反対キャンペーンを展開中)

を指名させて頂くこととしました。やるかどうかは当人の裁量に委ねます。強制はしたくありません。
(*ちなみに私のいるカリフォルニア州では深刻な干ばつに直面して水の利用に関する規制がでていますので、バケツは小さめ、氷は1袋、水は無駄にならないよう全て庭に流れるようにしました。水もしばらく撒いてなかったのでちょうどいいかと)

ALSの啓蒙運動なので、それがどういうものかを知る必要があります。この記事にはALS患者である藤田正裕さんの貴重なコメントが掲載されています。これだけ神経にダメージがでているのにマッキャンエリクソンのような大手代理店で働けているというのは素晴らしいですね。頭が下がる思いです。

最後に日本ALS協会の公式サイトに載っているコメントを掲載します。

「ALSアイス・バケツ・チャレンジ」は、難病ALSを克服するチャリティ運動として、
アメリカから世界中に広がりを見せています。
当協会では、このイベントが、これまで難病ALSを知らなかった人に関心を持って頂くきっかけになり、
ALSへの理解や支援の輪が広がっていると感じています。

また沢山の方からのお問合せやご寄付のお申し出に対し、心より感謝いたします。
頂いたご寄付は、ALSの原因究明や治療研究および、患者家族への支援活動のために、
大切に使わせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。皆さまへのお願い
「アイスバケツチャレンジ」で、冷たい氷水をかぶることや、寄付をすることなど、すべて強制ではありません。
皆様のお気持ちだけで十分ですので、くれぐれも無理はしないようにお願いします。
特に氷水について、これから涼しくなりますので心配しております。

ALS Association Official Website

一般社団法人 日本ALS協会 公式サイト

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立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。

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