それでいいのかTwitter

書こうかだいぶ悩んだのだが、まだソーシャルメディアとかSNSなんて言葉がほとんど使われてなかったソーシャル黎明期に「ソーシャルメディア革命」なんて本を出したことがあり、その中でソーシャルメディアの影響力について散々語った身であるのでやはり一言言わずにはいられない。

もちろん、お察しの通り先日のZozotown前澤社長のお年玉企画の件である。

個人的には前澤社長は同年代だし、私には到底できないことをやっている方なので、彼が私費を投じてフォロワーを増やしたり、メディアの露出を増やしたりすることをとやかく言うつもりは(あまり)ない。(何を言っても僻みと言われればそれまでというのもある)

経営者である以上、広告価値に対して配慮するのも大事だし、たとえそれがメディアのネガキャンに対する牽制であったとしても 、すでにいろんな方が言われているようにむしろ正しい選択肢なのかも知れない。独断でやっている場合も、スタッフと蜜にやり取りしながら行動されていることだろう。

(ただ個人的に気になっているのは、若干彼の言動が最近同年代男性に対するモラハラになってきてはしないかということだ。前澤氏が派手な活動を繰り広げる度に、「毎日汗水垂らして家族のために頑張って、長時間の電車通勤や安月給、少ないお小遣いに不満を持ちつつ、上司と部下の板挟みにあいながら頑張っている」同年代の男性が暗鬱とした気分にならないか、とやきもきしている自分が最近いる。私は幸い海外にいるので、そこまで自身と比較することはないが、それでもなんかモヤモヤとしたものが胸中に残るくらい(笑)なので、東京にいる同年代の皆さんはどう感じているのだろうか。。才能がなくても資産がなくても、家族のために毎日健気に頑張っている方々はなーんにも悪くない、あなたたちは頑張っている!と声を大にして伝えたい 笑 閑話休題)

しかし、である。私には今回の大旋風を巻き起こしたプラットフォーム側としてのTwitter社(本社も完全に同意してるのかは知らない)が「バラマキ」を正当化したことに対してある意味ソーシャルメディアの「メディア」の部分の終焉を目の当たりにしたような気分になった。複数の識者がその費用対効果を讃えているというのは、ある意味広告代理店も「現金」には勝てないと引導を渡されたようなものである。

関連記事:ZOZO前澤社長の「1億円お年玉」は規約違反? Twitter社に聞いてみた

いただきましたご質問に対する回答ですが、前澤さまの個人によるツイートは
Twitterの利用規約に違反はしておりません

いいんですか、いいんですか、本当にいいんですか? ♪ なんて口ずさみたくなってしまうくらい驚いた。

筆者的にはこれはグレーゾーンだと思っていた。本当にいいんですか?お金でフォロワー増やして、RTさせても。それが個人であれ法人であっても問題なく、ガイドライン上の記載にも特に矛盾しない、という。これからもしかしたら中東の大金持ちが世論を味方につけるために1,000人に1億円とかやってしまうかも知れない(笑)そしたらツイッターてそんなことだけのプラットフォームになりかねませんよ?

懸賞といっても、抽選でもなければ結果発表が公表されるわけでもない。そんなことしたら、複数アカウント作成についても詐欺についても、対処に追われるでしょう。そんなリスク抱え込むんですか?今回引いた新しい線引はかなり危険な匂いがする。もっとも、スケールは違うとはいえ、すでに過去に無数の同様な事例があり、いまさらこれだけ規制できなかったという話なのかも知れないが。

直近の経営状況についてのいくつか記事で示唆されているのはアメリカでの不調と日本での好調である。これが故のパワーバランス的なものもあったのかも知れない、なにせRTの世界記録更新である。Twitter自体の影響力を改めて喧伝する物差しにもなったのかも知れない。

関連記事1:Twitterの黒字化は実は日本のおかげ?

関連記事2:ツイッターの売上推移などをグラフ化してみる(最新)

しかし、これまでのRTの世界記録が純真な少年を巡る美談的なものであっただけに、これを上回る記録が「お年玉」というのはなんだか少し寂しい気がするの筆者だけだろうか。もともとRTの瞬間最大風速も「バルス」だったし、年末のメイウェザー・天心戦でも日本企業の太っ腹ぶりが話題になった。国際的な日本のプレゼンスという点では貢献したと考えるべきなのだろうか。私自身まだまだ年始から消化不良の状況が続いている。。。

最後に一言付け加えると、日本大富豪連盟も「夢」をRTしましたが見事に外れました。あれ、ヒガミ?(爆)

<続報>

早速こんな記事が話題になっている。それみたことか。
ラファエルの100万円(総額2億円)プレゼント企画のtwitterアカウントは本物?偽物?フォローのリスクや危険性についても (Tanoseek)


立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。在米歴20年以上。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(ともにDiscover21)など計六冊を上梓。