インターネットの始まり、資本主義の終わり

いよいよ9月に突入。

日本出張に関するブログを更新しつつ、新しく始まったプロジェクトをいくつか進行中。
執筆に関してはこれまで書いてきた小説二本に加え、「インターネットと資本主義」についての本を書き始めたのだが、これに加え、「ソーシャルメディアとは何か?」という感じの本を書き始めることになった。すでに新書を三冊出しているので、これからはもっと掘り下げた本を書いていきたいと思っている。

アプローチとしては、ここにきてようやく全体的に自分らしい視点を供給できる環境になりつつある。それは何かというのを過去数週間考えていたのだが、自然と大学の時に学んだPolitical Ecology (Economyからの派生)の視点とITの視点を組み合わせたものがいいという判断に。日本にはポリティカル・エコロジーはうまくランディングできていないようで、環境社会学(Environmental Sociology)の学派で需要が進んでいるらしい。社会環境学じゃないのか、と Socio Environmental Studies という単語で検索してみると出てくるのは日本の大学が多いので、海外ではやはり環境社会学の方の認知が進んでいるようだ。

インターネットは洗濯機ほど世の中を便利にしていないという指摘をしたハジュン・チャンの「世界経済を破綻させる23の嘘」という本が面白いと大親友のSteve Boyerから聞いて興味津々。(しかし、インターネットの部分についてはいくらでも反証できそうな気がしている)
(参照:ハジュン・チャンというエコノミスト
まだウィキペディアの項目がないみたいだから、作成してみようかな。

継続して読んでいる「経済学という教養」(稲葉振一郎)は相変わらず面白い。ある意味こんなに熱中して読める本に出会ったのは久しぶりという気がする。高校時代からの「心の友」安田君に以前借りた「資本」論もまた読み返してみる。別に左にも右にも傾倒するつもりはないのだけども、学生時代は知らず知らずのうちに随分左に傾倒した学問を学んでいたことを今になって知る。

「ニューエコノミー」論のくだりでは思わず吹き出す。

たとえば、いまやほとんど忘れ去られてしまった「ニューエコノミー」論がある。IT革命によって先進国(とりあえずアメリカ)は不況知らずの新局面に突入した、という奴だ。 (p.221)

アメリカの失業率は以前高水準だ。カリフォルニアで12%(2011年7月度)、自営業者の「実質」失業はこれらには含まれないので本当に高い水準である。

もうすぐ37歳。40歳になるまであと3年で、ライフワーク的に思想をまとめる作業にとりかかる時期なのかも知れない。
学者でもないのに、と少し自嘲気味になるが。

立入 勝義 (Katsuyoshi Tachiiri) 作家・コンサルタント・経営者 株式会社 ウエスタンアベニュー代表 一般社団法人 日本大富豪連盟 代表理事 特定非営利活動法人 e場所 理事 日米二重生活。4女の父。元世銀コンサルタント。在米歴30年。 主な著書に「ADHDでよかった」(新潮新書)、「Uber革命の真実」「ソーシャルメディア革命」(共にDiscover21)など計六冊。