将棋の戦法別の序盤研究はやはりプロが著した棋書から学ぶのが一番だと思う。(一般的にはAIの方が優れている場合もあるとされるが、体系的でないので慣れるまでは難しい)自分である程度形を決めて誘導できる振り飛車に比べて、居飛車は学ぶことが本当に多いので、必然的に本をたくさん読むことになってしまう。日本に出張する度にちょくちょく棋書を買い溜めては持ち帰っている。最近は横歩取りを特に勉強していて、後手番では相横歩取りの本をたくさん読んで、それなりに形になってきたのでいよいよ先手番でも横歩を取れるようになってきた。先手番で採用しているのが、写真のような「青野流」である。最近はプロの棋戦でも採用率が高くなってきていてタイトル戦でもちらほら見かけるようになったのだが、比較的新しい戦法なので詳細を研究した本がまだなかった。
しかし、前回の日本出張時に発売されたばかりの同書を買って読み始めるとまさに目からウロコの発見ばかり。青野流だけで丸一冊書かれているので、これだけマスターできればかなり自信をもって青野流を指すことができると思う。よくアマゾンのレビューで「ライバルには読んでもらいたくない」みたいなことが書いてあるが、この本については本当に私自身もそう感じた。(実際にはアマ同士だとなかなか青野流の形にはなりづらいのだが、ウォーズでもたまになる)
級位者にとって(大駒が飛び交う)横歩取りの変化は間違えると「即死」的なイメージが強く、とっつきにくいものだが、だからと言って一生指さないというのも寂しい。どこかで勉強しないといけないのなら、プールに初めて浸かる時のように、勢いで飛び込んであとは身体を慣らしていくしかない。本来は後手番の急戦(4五角や相横歩取り)を学んでからのほうがいいようにも思うが、後手が3三角と受ける形は一般的なので、そこから青野流に持ち込むのは実はそれほど難しくはない。後手番と一緒に勉強してもいいかも知れない。どうせ研究は無限に続くのである。。。
居飛車党の皆さまには本書を強くお勧めしたい。